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ブルーバタフライ

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二階堂奥歯へ捧げる
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花から花へと
せわしなく
羽ばたく
ブルーバタフライ
境界に開く窓
甘い蜜を吸うときですら
落ち着くことがない
まるで少しでも
羽根を休めたら
たちまち墜落して
死んでしまうかのようだ
二枚のその羽根に
焼き付いている
青い空
生きようと決意して
生きようと意志しなければ
生きることの出来ない
不可能に
君は浮いていて
本から本へと
せわしなく
羽ばたく
ブルーバタフライ
境界に開く窓
まぶたを閉じても
そこにはまた別の世界
別の物語が広がるだけで
君は決して
眠ることがない
この世界の彼方から
この世界を
この果てしない物語を
読んでいる一人の読者
存在しない
透明な
純粋読者のように
花から花へと
せわしなく
羽ばたく
ブルーバタフライ
境界に開く窓
駅の広場にある
小さな花壇の中で
ぼくは風の心臓を見た