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雛鳥プロジェクト体験談① 下澤 里桜那さん

雛鳥プロジェクト体験談 
下澤 里桜那(東京国際大学 4年)
参加地域 鳥取市河原町

今回、雛鳥プロジェクトに参加したきっかけはInstagramの広告でした。
今思い返すと、ちょうど雛鳥プロジェクトの広告が出てきた頃、日本海側に行きたいなと漠然と思っていて、鳥取県を含むいろんな地域を調べていたところでした。それもあって関連した広告が自分の元に届いたのだと思います。
それから、もともと伝統工芸が好きなので工芸の町である河原町に興味を持ったのと、首都圏に住んでいるとなかなか触れられない自然に触れたくて、応募してみようと思いました。

私が参加した地域は、鳥取市の河原町でした。


4日間のうちの2日間で、河原町西郷地区にいくつかある窯元を訪れたり、okudan(いなば西郷工芸の郷ギャラリー&カフェ)で地域の方々や作家さんと交流させていただきました。
私たちは普段完成した作品しか見ることがありませんが、窯元に行くと未完成の器がずらーっと並んでいて、ここにあるものがこれから色付けされると思うとわくわくしました。欲を言うと色付けするところも見てみたかったですが、土から粘土をつくる工程であったり、実際にろくろで器をつくる工程を目の前で見ることができたので嬉しかったです。

地域の方々とのお話では、鳥取市河原町の少子高齢化に伴う人口減少、農家の減少、空き家の増加など、地域が抱える問題を改めて認識しました。
問題を解決するためにどうするべきか、私なりにいろいろ考えてみたのですが、河原町は食べ物には困らないし、美味しいお水が飲めるし、豊かな自然も温かい人も居るので十分だと思いました。もちろん、このまま人口が減り続けてしまったら地域を存続することは難しくなりますが、これは河原町に限った話ではなくて、全国各地が抱える問題なので、仕方がない部分もあると思います。それよりも、既にある豊かさに気づいて、「足るを知る」という言葉のように、今に満足して生きることが大切なのではないかと、鳥取に滞在しながらいろんな方のお話を伺うなかで思いました。

日々生活していると、「コスパ」や「タイパ」が求められることが多くなりましたが、今回河原町と用瀬町に数日間滞在してみて、私たちはいかに無駄を省いた効率の良い生き方をさせられているのかを実感しました。効率的に生きることは悪ではないですが、ちょっと無駄があったり手間がかかるくらいのほうがそのぶん思い出深い経験を得られるし、その過程も味わいながら楽しめるのではないでしょうか。
現代はものに溢れた便利な生活が当たり前になっているので、田舎が住みづらくて何も無いように感じますが、有るものに目を向けてみたら生きていくには十分だと感じたし、その豊かさに気づいた人から鳥取に訪れてみてほしいです。都会も魅力的なところですが、違った魅力が鳥取には溢れていると私は思います。

また、陶芸作家さんの中で、「器が安く大量生産できる今、陶芸は時代と逆行していて、その上AIも台頭してきて不安な面もあるけど、つくることは楽しいし、人間にしかできないことだからこそ続けていきたい」ということを仰っている方がいて、その考えにとても共感しました。AIは人間を支配してしまうんじゃないかという怖さはありつつ、私がこのプロジェクトに参加するきっかけをくれたのもきっとAIだから、どっちの側面ともうまく付き合っていきたいし、人間にしかできないことを私も探していきたいと思いました。

今回は鳥取市の河原町、用瀬町で4日間という短い滞在でしたが、ここには書ききれないほどたくさんの感じたことや気づきがありました。
このプロジェクトに参加してみようと行動できてよかったです。また、ここで生まれたご縁を大切にしたいと思います。改めて、雛鳥プロジェクトに参加させていただきありがとうございました。



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