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ガソリンスタンドなぎ倒すほどの勢いで通り過ぎていく

ぽっぽアドベント24日目を担当しています。イヴ!こんな大切な日を担当することになって……ドキがムネムネってやつです。

ここ一ヶ月ほど、ホームであるツイッターに全然浮上できなくなって最近のトレンドを見逃してばかりいます。ステイ(アット)ホーム出来てなさすぎて「みんな元気してる?」ってツイートしていく方式採用しています。いいねでみんなの元気度測ってっから。


私にいっぱい愛すべきやおい達をいつも教えてくれるはと氏(@810ibara)。そんな彼女の素敵企画「#ぽっぽアドベント」、ものすごく憧れていたので今回参加できてとっっっっっっっても嬉しいです。と、同時に全然面白いこと書けなかったらどうしよう…とモジモジしています。

この日を担当するのは私以外にも御二方います。

《カレンダー1つめ》г ∪ ⊂ оさん と、《カレンダー3つめ》犬飼さん です!

1日3つも熱の篭りまくったエッセイを読めてしまうのは嬉しいですね。元気が出てきます、モリモリです。


今年のテーマは「変わった/変わらなかったこと」

今年は様々なことが起きて、まとめるのがみなさん大変だったと思います。

とりあえずですね、出来るだけテーマに添えるよう努力しつつ、変わったこと、というか…自らの意思で「変えたこと」についてお話ししようと思います。

BGMはこちら。イブの日にぴったりの曲です。お奨めの一曲。

ゆるく気軽に読んでいただけたらば嬉しいです。



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語学試験の現実逃避に韓国映画/ドラマと文学を

読みまくったこと

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さて、まずは韓国映画・ドラマ(文化も)が好きな人たち全員に謝らないといけないことがあります。それは私がずっと、本当に最近までずっと、「韓国映画・ドラマが好き」と声を大にして言わないようにしていたことです。むしろ言っちゃいけないとまで感じていました。

というものの、実は私には人生で三回、韓国ブームがきました。一度目は多分、小学生だった気がする。二度目は2013年(14年かも)に「新しき世界」を観た時。そして三度目は今。

 冬のソナタが流行った影響で韓国ドラマが一気に身近になり、当時 私はクォン・サンウの天国の階段を観てて「あ、ちょっとこの人好きだな」と思ったのか、何かの折に友達にそれを言ったんです。でも、その子が少しバカにしたような感じでそれを聞いてて。それで、その子が他の子にもそのことを言って、「あいつ韓国ドラマにハマってやがんの」みたいに影で言われたことがあります。陰口を知った時はショックでした。そこから私の中で長いこと「韓国ドラマにハマることは恥ずかしいことなんだ」という、ややトラウマに近い気持ちを抱えるようになったのです。「冬のソナタ全話観たって言ったら笑われる」っていう感じです。もう覚えてないけど全話観たな…ペ・ヨンジュン元気かな…

それ以降「韓流ブーム」という言葉を聞くと嫌な気持ちになりました。「韓流スターが好き」という声を大にして言えた人たちと、言えなかった自分を差別化するために嫌いになっていったのだろうと思います。


 月日は流れ、「新しき世界」を拝見した時に再度「韓国映画(ドラマ)はすごい」と静かに心の内に感じたのを覚えています。なんですかあのお車衝突アクションシーン。なんですかあの股ぐらカキカキするチョン・チョン(ファン・ジョンミン)………ぜってぇファン・ジョンミンの圧倒的な存在感に映画界ひれ伏したよね……股掻いてたのが評価されたのかアシュラでも股間のギリギリ攻めてたよな。

他にも「アジョシ」「青い塩」「渇き」「殺人の告白」「ある会社員」「殺人の追憶」「かわいそうなクムジャさん」(トラウマ映画) 「プンサンケ」などを立て続けに吸収してクラクラしました…どれも脚本が凝っていて、圧倒的に映像が綺麗だったからです。特に「殺人の告白」は何回でも観たいと思うほど好きな映画の一つになったことは嬉しい。(主演のパク・シフは恋愛ドラマの貴公子なのか、映画に全然出ない人だと知りました)(だからこそ「殺人の告白」は悪役としての彼を観れるので素晴らしい映画)(観てくれ)


けれどもやっぱり誰かに「韓国映画・俳優が好きなんだ」とは言えませんでした。

それくらい根強くあの時の気持ちが私の中に居続けたのです。小さい時に傷つくとこうやって苦しむんだなぁ、と最近になって感じました。



 三度目はというと。

きっかけは今年8月15日にツイッターでたまたま回ってきたGIFです(回してくれた人本当にありがとう)。この時は、後にこのドラマにハマって救われるとは一ミリも思っていません。

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(※S2EP1の一場面)

最初、死神かと思いました。意味不明ですね。死神って。でもこの男性(キャラクター)にすごく興味をそそられたことは確かなんです。

なぜ、海っていうロケーションにも関わらず暑苦しそうにスーツとコート着て、物凄く仏頂面でコーンバー(コーンバー?)片手に持っているのか。この男性は一体何者なのか?


このいろいろツッコミどころが詰まった画像、めちゃくちゃ気になるじゃないですか。気になりましたよね?

気になった私は偉い、先延ばしせずにちゃんと調べました。最初はStrangerってタイトルの韓国ドラマだと思って見ていたんですが、どうやら「秘密の森(中:秘密森林)」という日本語タイトルがあるじゃないかとなったのです。


このドラマをざっと説明すると、ある殺人事件が発生し、たまたまそこに居合わせた検事(主人公)が、事件を調べていくうちに一筋縄ではいかない複雑に絡み合った検察界隈の闇(秘密)に気づいてしまう。そして警察と衝突したりしながらも癒着した大手財閥を相手にその闇を暴いていくハードボイルドサスペンスです。

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(メインのキャラクターはざっとこんな感じです。細かい説明が全くなくてすみません…ハンジョグループも入れたかった)

ここまではよくありそうな設定ですが、特筆するべき部分があります。主人公の個性として、感情が存在しないことです。正確に言うと、存在するにはするのですが、過去に受けた手術で感情部分を司る、「島皮質」を削り、後遺症で感情の起伏が起きにくく、他者を理解する能力が欠けている。これによって物語が面白い風に進んでいくのでプロットを考えた人は天才の部類に入ります。


※以下、描写的にネタバレを含んでいます。許せる人だけお進みください



主人公に感情がなくても、愛想がなくても良いということ


私にとってファン・シモクという人物像はとても新鮮な存在でした。また、そのようなキャラクターが主役として据えられて物語が進んでいくということも。無感情さを前面に出したキャラクターはどちらかというと、悪役になりがちで。「無感情さ=悪」とまではいかないにしろ、無感情な人間にスポットが大々的に当たることはない。だから、感情の無い”登場人物”でも物語の主役になることができるんだとハッとさせられたのです。私があまりドラマを観ないからそう感じたのかもしれません。このドラマの良いところは、主軸が「主人公が無くした感情を手に入れる成長ストーリー」じゃないことです。普通ならそういうのにフォーカスを当てがちですよね? でも、このドラマは違った。というよりその無感情さは彼の個性の一部として当然のように扱われています。シーズンの核となる部分は、その個性をある意味武器にして、殺害されたパク・ムソンを中心とする汚職を暴いていくことです。感情が乏しいので常に無表情で、必要な事しか言いません。不要な言動に対してはとことん無視していくスタイル。電話も無視するし、すぐ切る。だから劇中では冷酷な人間としてそれなりの行動をとっているように見えるのですけども、無感情なりにもやっぱり感情の揺れや、無意識に出る表情とかは存在するんですよね。ワンテンポ遅れて。そういう機微をきっちり画面に入れながら、ファン・シモクは検事内の不正に立ち向かうべく秘密の森の伐採を決めるのです。


男女間の揺るぎない"バディ"という関係性


「秘密の森」にはファン・シモク(チョ・スンウ)検事以外にもう一人主人公が登場します。ハン・ヨジン(ペ・ドゥナ)という女性刑事です。警察学校をトップで卒業、優秀中の優秀で人に共感し、やや熱血さを持った、主人公とは正反対の人物です。二人の出会い(EP1)は まぁ最悪です。良いとは言えない。シモク検事は殺人現場の第一発見者としてヨジン刑事に疑われるっていう。そしてシモク検事はその状況を特に何も感じていないので無視しようとするし…序盤から二人で犯人を追いかけっこするし…どういうことだ、展開が早すぎる、早すぎるんだ…

ここで私の中では懸念が少し湧きます。男女が同じ数出てくると何が起きるのか。これまでの歴史で何が起こってきたか。そう、恋愛です。主人公がいつのまにかもう一人の相手に心を奪われて(奪って)いく展開。何度その展開必要なくない?と感じてきたことでしょうか。

でも、このドラマではその心配を全くしなくてよかった。

ヨジン刑事は必要以上に相手へ踏み込まない人間です。シモク検事に対しても例に漏れず。そして検事は必要なことだけしか刑事に連絡をしない。無駄がない。いつも敬語で壁を一つ隔てたような接し方をします。けれども二人は賢さの感覚が同じだからか、妙に息が合い 事件解決の方向でお互いを助け合うようになります。事件に真剣に向き合い、悪を正すことをモットーとしている刑事に少しずつ、検事は同志として信頼を寄せるようになります。異性としてじゃない。同志として。検事界に日常茶飯事で起こっていた不正を断ち切りたかった彼にとって、刑事はどういう風に映ったのでしょう。それはドラマをぜひ観て欲しいです。

男女が出てくるドラマで本来のストーリーの主軸ではない恋愛面に気をとられる(無理やり主軸と絡めようとする)物語が苦手だったので、「秘密の森」には救われた気分でした。救われた、のかな。人間同士の信頼がそこにあった。ソウルメイトの関係。なおかつ、ストーリー自体も面白くて演出も抜群(特にシモク検事による過去回想時のシュミレーション)、タイミングよく電話がかかったきていつもご飯のお預けをくらうシモク検事(食べれます)、ハマらないわけにはいきませんでした。ほんとうにありがとう「秘密の森」。

私はこの好きな気持ちをずっと抱えて生きていきたいと思えました。


シーズン2が20年10月12日よりNETFLIXにて放送開始


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実はまだ観れていません。ごめんなさい。私にはこのドラマに対する感情を噛み砕く時間がまだまだ必要で、最近やっとシーズン1を最後まで完走したばかりなんです。シーズン2は年始に一気に観れたら良いなと思っています。これから16話分 検事と刑事に再び会える幸せで年内の残りの労働も乗り越えられます。はやく溺れたい。

日本でのオンデマンド放送が始まりそうな頃、韓国でのTV放送が終わり、最高視聴率を叩き出したみたいです。下記のリンクの記事にはシーズン3が期待できそうだともあり、期待は高まる一方……

アドベントカレンダー3つめの1日目に森井さんがファン・シモク検事の中の人チョ・スンウ氏についてお書きになられているのでこちらも是非併せて読んでいただけたら嬉しいです。


それからというもの、「秘密の森」を皮切りに、あれよあれよと気になった韓国映画を観ていく旅に出ました。この時期、ちょうど語学の試験勉強もしていて、そこからの逃避したさも影響して3日に一作品観るような状況に。この間に突然キムチ鍋を七日七晩続け出したり、トッポッギの作り方をおもむろに調べ始めて、深夜に作り出したこともありました。

|9月5日-11月7日に観た映画たち|

幼い依頼人/ディヴァインフューリー(2回)/プリースト 悪魔を葬る者(2回)/シュリ/NO WHERE情け容赦なし/フェア・ラブ/82年生まれ、キム・ジヨン/名もなき野良犬の輪舞(ロンド)(2回)/華麗なるリベンジ/哀しき獣/チェイサー/新しき世界/監視者たち/暗数殺人/工作/アシュラ

|読んだ本たち|

82年生まれ、キム・ジヨン/静かな事件/あの夏の修辞法/殺人の記憶法

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本を一冊読むのに結構時間がかかる自分が四冊も短期間で読むのは普段ならばありえないことです。それくらい現実が嫌でした。先の見えない不透明な未来と、あまり進歩しない自分の語学力にモチベーションはどんどん下がるばかりで。”焦り”だけがこの頃の自分を脅かしていました。


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3年の遅れをもって、「名もなき野良犬の輪舞」の虜になる


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ありがとうございました…ありがとう…もう「ありがとう」しか言えないんです…………それ以外の言葉を思い出そうとすると涙で前が見えなくなる。

これはなんなんだ?!私は何を観させられたんだ?!

と今でも感じています。多分ずっとこの映画の衝撃は忘れることができないのではないかと思っています。

私よりも素敵なエントリーをばっこさん(@baccoy)が書いてらっしゃるので、そこへどういう映画なのか目撃しにいってくださいお願いします!


この映画は韓国の裏社会をテーマに、警察とヤクザの騙し合いを描いた映画だとうのに、製作陣が暗喩的、そして意図的にラブストーリーを盛り込んでいるんです。ラブストーリー要素ゼロなのに、そう見えてしまう力量がこの映画にはあるんです。2つのテーマのうち1つをメイン裏的に描いて無意識に観客に「これってそういうことだったのかな…」と感じさせることは緻密に脚本を練っていかないとできないんじゃないか、と圧倒されました。言い換えれば、基礎となる「警察VSヤクザ」というテーマを完璧に描いているんですよね。その上にラブストーリーを織り交ぜているものだから、すんなりと観客の心にその意図が伝わるのだと思います。


虜になりすぎて、試験の受験日にBlu-ray(黒いパッケージの)を、お守りがわりに持っていきました。胸に抱いて寝ました。受ける直前までサウンドトラックを聴いていました。

そして合格点を一発通過できることができました。これはジンクスにしていこうかな、と思いましたね…

『何か勝負のある前日は「名もなき野良犬の輪舞」Blu-rayを胸に抱いて寝ると良いみたいです。試してみてください!(20代/女性/会社員)』


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一連の(私の中の)出来事で、完璧に韓国の作り出すストーリーの虜になりました。もう「恥ずかしい」とか言ってる場合じゃない。恥ずかしくない、全然。恥ずかしくないんだよ。だって最高に面白いんだから。俳優の演技は素敵だし、脚本も練られた作品が多い。本当は、随分前から知っていたことじゃないか。私はここで過去の自分に対して自由になろうと決めました。

大好きです。ありがとう。

そして、ごめんなさい。


余談ですが、私はこの映画でソル・ギョングとイム・シワンの存在を知りました。

これは”好き”なもの全般に言えることなんですが、少し前までは「なんであの時(公開当時とか)、私は出会わなかったんだ」と後悔することが多かったんです。でも今は「"あの時"じゃなくて、今だから私は好きになることができたんだ。タイミングは今だったんだ。」と感じるようになりました。出会いにはタイミングがあると思います。恐らく、自分の感性が未熟すぎても未来に出会う”好きなもの”を好きになることはない気がしています。

だから今年ソル・ギョング、イム・シワン、チョン・ヘジン、チョ・スンウという素敵な俳優を知れてよかった。そして、まだまだ私は彼ら彼女の演技を知らない。どんな作品に出ていたのか、どんな演技をしてきたのか。それをこれから少しずつ知ることが出来る幸福を噛み締めていくのです。


今年は、特に下半期、韓国ドラマ・映画に救われた1年でした。


新しい物語の、新しい関係(キャラクター同士の)を知るたびに 私の心に風が吹いていきます。嫌なこと全てをなぎ倒していくかのような、駆け抜けるその風をずっと感じていきたいです。


さて、ぽっぽアドベント、残すところあと1日、最終日の執筆者は、💜さん、みなみさん、はと氏の3人です!お楽しみに! 


24.12.2020  君山


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