映画『ミツバチのささやき』感想

子どもの視点


 アナ役の女の子が黒くてぱっちりとした目で、いかにも無垢という感じで印象的だった。
 子供の視点で世界を見ると、全体像が何枚も薄い膜に包まれていてよくわからないのに、今ここの断片は鮮やかで美しい。小さなアナと、彼女によりそう観客は、スペインの小さな田舎の村の、広く古めかしい屋敷の光る廊下や、のどかな村の焚火、月が明るく光る夜や、向こうまで何もない野原が美しく見える。
 対して大人たちには不穏な影があるし、背後で何が起きているのか、はっきりとはわからない。

「大人たちに起きていることがわからない」

 だから、どういうことなのか解釈が難しいシーンはいくつもある。私の理解力が足らないということなのだけど…。イサベルは本当に生きているのか? 何度も出てくるミツバチが意味していることは? お父さんとのキノコ狩りでの会話は、お父さんが小屋に潜伏していた男を密告したことの暗喩なのかな、と思ったのだけどどうだろうか。

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