不登校先生 (36)
自分の好きなことに、自分の意思で、手を伸ばす。
落ち込んだ状態だったとしても、それができる心の状態かどうかは
かなり大きい差があると感じながら過ごしていた6月の日々。
しかし、時は待ってくれない。回復は至らず。病休は終わりが見えてきた。
6月下旬。校長先生から電話が入る。
「もしもし、ととろん先生ですか?今日はこの後のことについて電話を差し上げました。」
「はい、そうですよね。こちらは先日お電話でお伝えした状態で、まだ回復しているには程遠い感じです。」
「そうですね・・。実は専門医の面談を6月末日に予約を入れています。この面談は病休を開けて復帰できるかどうかの判断を、自治体の専門医にしてもらうものです。」
「はい、ただ、まだ復帰できるかどうかという段階にも至っていないのが実感なのですが、その場合はどうなるのでしょうか?」
「専門医面談ができない状況ということであれば、面談自体をキャンセルすることはできますので、そこは無理されないでください。」
「わかりました。自分ではどうにも決めきらないところもありますので、次の月曜日の診察の時に、主治医先生に診察してもらった後、校長先生にその件についてもご報告します。」
「わかりました。では次の月曜日に。」
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「先生おはようございます。」
「ととろんさん、調子はどうでしたか?」
「はい、今週も2時間せずに目が覚めることの繰り返しが多かったです。」
「そうですか、きつかったですね。」
「ただ、今週は、久しぶりに自分から好きなアニメや映画を観ようかという気分になれる日もあって。その時はうれしかったです。」
「うん、徐々にですね。まだしっかり休みましょう。休むことを必要としていますから。」
「はい、そうします。それと先生、相談なのですが。」
「はい、どうされましたか?」
「実は先週校長先生から、復帰にの可否を判断する専門医面談の予約を入れたという連絡があって・・・」
「まだ復帰は難しいと思います。面談どうされるのですか?」
「僕も、復帰なんてまだ全然見通せないと思っているのです。面談はキャンセルしてもいいということなのですが。」
「キャンセルでいいと思います。面談があるということ自体が、ととろんさんに重圧になっているでしょうから。キャンセルできるなら、主治医からまだ復帰できる段階じゃないと診断されたと言ってもらって構わないですから。」
「ありがとうございます。」
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自覚はあったけれど、主治医の先生のも同じ見立てで言われると、
安心感を感じた。
心の状態は、まだ、復帰するかどうかを考えるところまで回復していない。
僕は、決断しないといけない。
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