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不登校先生 (43)

時間はあーさんの結婚式の週の週初めにもどり、

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「ととろん先生ですか?退職願、本日受け取りました。

 手続きはこちらで進めますので、引き続き療養されてくださいね。」

校長先生から、退職願を受け取ったことの連絡が入る。

「ありがとうございます、よろしくお願いします。」

療養に専念、【休む】事がこんなにも大変な事だったのだと

痛感させられてきたような数か月で、ここまで来てしまったので、

校長先生の言葉はまさにその通りだなと感じながらも、

ひとまず、受理された退職願に、ほっとした気持ちになった。

「あ、それから、ととろん先生、もう一つ確認が。」

「はい、なんでしょうか。」

「先生の荷物なのだけれど、どうしましょうか。」

「あ、そうですね・・・・」

考えになかった。この15年で増えに増えた学校で使う荷物たち。

今年度に至っては、この大荷物から、職場での変な奴認定はされていた

一つ一つが、大事な使える道具たち。そして大量の学級文庫たち。


もう、全部捨ててもらってもいい。

           そんな気持ちと、

                僕がしっかり引き取ってこないと。


と思う二つの気持ちが行ったり来たりしてしまう。けど、

「月末の、校長先生の都合の良いときに、引き取りに行かせてください。」

「では、月末の週初めが、ワクチン接種でお休みするので、

 29日木曜日の午後からはどうですか?」

「わかりました。都合をつけます。自分は車を持っていないので、

 友人に車を出してもらって取りに伺います。」

「はい、では29日に。」

日にちが決まったため、たてなくんに連絡する。

「たてなくん、29日なんだけど、いいかな。」

「いいですよ、ちょうどその週、自分も2回目のワクチンが

 月曜日なんですけど、木曜日なら大丈夫だと思います。」

「ありがとう、助かるよ。」

そんな話で、荷物の引き取りは一度、29日となった。

数日後、校長先生からの電話が入る。

「ととろん先生、お休み中にごめんなさい。私ちょっと配慮できていないと   ころがあって、再確認のお電話をさせてもらいました。」

「わかりました。どんな内容ですか。」

「実は、29日に荷物を取りに来る日にしていたと思うのですが、夏休みとはいえ、職員がまだけっこう出勤しています。午後からとはいえ顔を合わせるのは、ととろん先生のご負担になるのではないかなと。そこを考えずに提案してしまって申し訳ない。」

「いえ、僕は校長先生に気を配ってもらってばかりですから。こちらこそすみません。ですが、おっしゃる通りで、ほかの先生方とお会いするのはできれば避けられたら良いのですが。」

「ですよね。では29日でなく、週末の31日か1日はいかがですか?」

31日は、あーさんの結婚式で動けない。

「では、(8月)1日の日曜日でお願いできますか。」

「わかりました。それでは1日の午後、私が学校のカギを開けて、おりますので、尋ねられてください。」

校長先生は、日曜日に、来てくださるといってくださった。

本当に最後までお世話になりっぱなしだ。

「ありがとうございます。」

変更になった件について、たてなくんに再度連絡。すると、

「よかった、ととろんさん。実は僕も2回目のワクチンの副反応がひどくて、まだ動けない状態でして29日はちょっときついなと思っていたので1日になってもらってよかったです。」

たてなくんの体調も、29日より1日の方が、ということだった。

そんな流れで、荷物を取りに行くのは8月1日になった。

実はこのことが、この後の療養生活にも大事な分岐点になっていくとは、

この時はまだ知る由もなかった。

↓次話




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