見出し画像

優しい嘘は、愚者を聖者に換える

4月1日の記念日【エイプリルフール】
悪意のない嘘をついても良いとされる日として、広く知られている記念日です。日本語では「四月馬鹿」と呼んだりします。由来の起源は諸説あるそうです。一説を紹介すると、1564年にフランスのシャルル9世が、それまで3月25日を新年として、4月1日までを貼るの祭りを開催していた習慣の中で、1月1日を新年とする暦に採用したことを反対した人々が、4月1日を「うその新年」としてバカ騒ぎするようになった事からという説があるとのこと。また、インドの「揶揄節」を期限としているという説もあるようです。

難しい時代になったな、嘘が。そんな風に思います。その嘘ほんと?とびっくりした後に、みんなでなんだよーと笑い合う、そういったコミュニケーションを楽しむには、SNSでのコミュニケーションが発達した現在は、ちょっと昔よりも、気配りに注意しないといけないようになってきているような気がするのです。

嘘はよくない。正直が正しくて立派である。というのは、大義をもつ自分たちは正しく、それに敵対する勢力は悪であるという二元論と同じくらいに拙速な考え方に思います。その嘘がどんな背景で、どんな思いを込めて届けられた嘘なのか、それによって嘘が時に相手に対する真心にもなるし、正直が相手を深く傷つける刃になりえます。

とはいえ、嘘を言ってしまう側には、相手のことを想おうと、真実を相手に隠すという行為でもあるので、優しい嘘をつく人ほど、嘘を隠した罪もひっくるめて背負おうという強い人のようにも感じることもあります。

誰のことを言っているのかというと、ワンピースの作中に登場する、船医チョッパーの最初の友であり師匠であるドクターヒルルクのことです。漫画のキャラクターですが、教師としても尊敬する人です。死が避けられない自分の病をひた隠し、自分のために命懸けでチョッパーがとってきてくれた薬が、猛毒だと知ってもなお、よく聞いたと笑顔でそれを飲み干す。その後、自分が騙されておびき出されたときにも、自分が騙されただけか、病人が出ていなくてよかったと心から安堵する。そんなヒルルクさんの生き様を読むたびに、こんなにも誰かのことだけを想い生涯を貫く人が作った嘘は、たとえ真実を知り嘘だと知ってしまっても、その嘘は励みになり続けて、相手を応援し続ける。

周りの人を笑顔にできて、その嘘で誰かを応援できる人は、きっと4月の馬鹿者ではなく、春の幸せお届け人なんだろう、そんな人がたくさんの幸せを広げてくれるような一日になりますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?