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やる気スイッチは、子ども自身でつけるもの(1)

ゴールデンウィークが終わると、小学校は運動会の練習モードに入る。

そう言えば先日、祝日の間の出校日、姉さんが頭を悩ませていた。

「運動会の表現、何のダンスにしようかしら。」

と、色々なダンスが掲載されている本を読みながら、

5年生の表現演目について思案していた。すると船長、

「あー、表現はこれをしようと思っているんだが、いいだろうか。」

と、そう言って差し出したのは一枚の家庭用DVD。

そこには「激・ソーラン節」と書かれていた。

「姉さん、ここの学校では、ソーランを必ず何年生かが踊るみたいな電灯の様なものはあるかい?」

「いや、昔はソーランみたいなのはやっていたような気もしますけど、ここ2年は見てないですね。」

「じゃあ、これ、どうだろうか。6年生になると組体操になると思うから、いいと思うんだ。ちょっと見てくれ。」

船長に言われ、姉さんはパソコンにDVDを入れる。

いくつかのウインドウテロップが出てきて、そこには子ども達が踊っている画面が映っている。

「以前、もう10年くらい前か、その時に踊りの見本に撮らせてもらった子どもの動画と、ソーラン節がカッコいい隊形で踊られている動画を観れるように、まとめてあるんだ。」

再生すると、ソーラン節を力強くカッコよく踊る子どもの様子が映し出される。

前からと後ろからの両方向から撮影されていて、指先から足の幅なども分かりやすい。

「明日のうちに一度、学年集会を開いて、連休中の注意を話すタイミングで、運動会で踊る演目を伝えるんよ。で、連休明けから、朝から集会をする部屋をダンスの練習用に開放することも伝えておく。そうすると、連休明けの朝から集会をしている部屋にこのDVDを流しておくと、やる気のある子達は、自分から練習し始めるのよ。」

なるほど、大きな行事である運動会で、なにを頑張るか。それを言葉でどれだけ語るよりも、

まずは、やってみたい、やってみようかなと思う子達が、

とりかかりやすい環境を整えておく。こういうアプローチの方法があるのか。

「で、そうしているうちに、だんだんと人数が増えていくと、いざ学年練習が始まる頃には、もう踊れる子が3分の1くらい、多ければ半分くらいになっているので、その子達のおどりが、まだ覚えていない子にも一番近くで見られる手本になる。全体練習でもこのDVDは流すけど、どうしても体育館の壁に移すだけだと、うすぼんやりして見づらいからね。視界に入る近くに、しっかり踊れている子を見つけて覚えられるんだよ。」

船長はそう解説してくれた。

連休明け一週間を過ぎてから取り掛かり始めましょうでは、教える側も教えられる側も、

そこには大きなストレスがかかる。そこで練習開始のよーいどんの前から、

自然と子どもたちが踊りに向けてのやる気が上がっているような、

助走期間のようなものを作ることで、全体にやる気を浸透させていくと言う事か。

画面に映る、お手本のこの踊りを見ながら、僕はそう納得していたのだった。


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