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大失敗も大成功も味わい尽くそう(8・了)

夏休み前の個人懇談会。仲良しさんクラスは人数が少ないので、

1家庭30分の感覚を開けてじっくりと細やかに、

学校での一学期の様子をお伝えしたり、おうちの方からの質問に答えたり、

また、おうちの方が家で気付かれたことなどをきかせてもらったりと、

ゆったりした雰囲気で、しっかり懇談することができる。

そんな中、家庭科の調理実習の時の話ですごく嬉しかったエピソードを、

聞かせてもらうことができた。それは、はやくんのお母さんだった。

「先週の日曜日にですね、はやくんが『僕がご飯を作るよ』と、言ってきてくれたんです。」

「おお、それはすごいですね。どうでしたか?」

「はい、『ご飯は炊飯ジャーで炊けるよ』と言ったら、

『ご飯だけはちょっと難しかったから、よかった。』と、

おかずを作ってくれて。ウインナーを焼いて、卵焼きを作ってくれました。

上手に巻くものだから、『なんでこんなに上手にできるの?』と聞いたら、

『あゆ先生直伝だからね。』と、嬉しそうに答えてくれたんですよ。

はやくんが自分から家族に『ご飯を作るよ』と言ってくれただけでなくて、

上手に卵焼きも作れるなんてと、びっくりもしたけど本当に嬉しくて。」

お母さんは、しみじみと笑顔ではやくんの家での様子を聞かせてくれた。

「お母さんありがとうございます。調理実習でやってみたものの、なかなか家出はさせてもらえないなんてこともある中で、お家でさせてもらえたことが、はやくんの自信を大きくしてくれていると思います。僕らも話が聞けて嬉しいです。」

と答える。あゆ先生に、「直伝だってよ。」と伝えると、

あゆ先生はてれくさそうに、嬉しそうに、

「直伝なんて、はやくんも上手いこと言うなぁ。」

と、お母さんと一緒に笑った。

はやくんは、いろんなことに慎重に考えを巡らせて生活し、

自分の感情と折り合いがつかない時も決して他人を傷つけない。

忍耐強く、学校が楽しくないときにも辛いと感じても絶対に休まない子だ。

僕らが順を追って説明することは、自分へのことも、

友達に指導している事もよく聞いて、友達に教えてあげる場面もよく見る。

優しい子なのだ。その優しさが、一つ自信を持てた今回の経験で、

家族に対しても行動に移したことは、本当にすごい事だと感じた。

お母さんはそんな嬉しいエピソードをプレゼントしてくれた後に、

「6年生になって、学校楽しい?と聞くと、『ふつう』と答えてくれるようになったんです。彼にとってのふつうは『Yes』という意味なので。6年生になってから、学校でこんな嫌なことがあったとか、わかってくれんとか言う言葉も聞かなくなったんです。本当にありがとうございます。二学期からもよろしくお願いします。」

と、付け加えてくださった。

これからも子ども達に楽しく伸びる経験をもっともっとさせてあげたい、

改めてそう感じた夏休み前の懇談会だった。

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