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どうせやるならとことん楽しもう(2)

「おはよー、冬休みはどうだった?」

3学期の始業式の日、朝から教室に入ると、子ども達は冬休み中にあった出来事を伝えあって盛り上がっていた。

「冬休み中に、最後の大会の予選が始まったよ、先生。」

とYくんたちのチームは、年始から試合があった様子。

「お年玉なんに使ったか当てて。」

「先生は紅白みましたか?うちは毎年紅白で。」

「クリプレに欲しかったゲームが来たから、ゲーム三昧でした。」

思い思いに、楽しめた声もあれば、

「受験が3つあったよ、来週の3連休であと2つ受けて、やっと終わり。」

と、受験本番の子も2・3人。

「先生、年賀状ありがとうございました。お返事出したけど届きましたか。」

「届いたよ、こちらこそありがとう。あのイラストは手書きだったんやろ?すごく上手だったよ。」

と、夏休みに比べると3分の1の長さしかないのに、

年末年始は、イベントが多いので、話題が尽きることは無い。

「じゃあ、小学校生活最後の学期を始めようか。」

一通り周りに寄ってきた子達の冬休みの出来事を聞いてから、

僕は、改めて子ども達に籍につくように声をかけてから、

「あけましておめでとうございます。」と挨拶した。

子ども達からは、「今年もよろしくお願いします。」と、返ってくる。

卒業までは残り55日ほどだという話や、

卒業に向けて、こんなことをしてみようと思うといった話をしてから、

夏休みに比べたら段違いに少ない宿題を回収して、

僕はみんなに聞いてみた。

「・・・と言う事で、冬休みの音読の宿題は、百人一首のプリントにしていましたが、みんなだいぶ覚えた?」

「まだ100全部は自信ない。」

「赤・緑なら完璧」

「え、俺は青だけなら完璧だけど」

「先生、私買っちゃった、五色百人一首。お年玉で。」

その手があったかぁ、と何人かの子どもが反応している中、

自分で買ったKさんに聞いてみる。

「どうだった?プリントは少し役に立った?」

「少しどころじゃなかったよ。買ってから、家族で百人一首しようってなって、初めはあまりとれなかったけど、悔しかったから先生のプリント見て得意札作って、今では家族の中では私、無双です。」

「まじか、それはだいぶ効果大だね。それならよかった。」

「よかったです。先生3学期もまた休み時間に百人一首してもいいですか。」

「もちろんやっていいよ。それからみんなには先生からもひとつ3学期にすることで、発表があります。」

というと、僕は大きなかごに入れて持ってきた五色百人一首の取り札の山を子ども達に見せた。


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