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喧嘩も最後までとことん(2)

「・・・・というわけで、あんちゃんと先生は昨日の放課後に大喧嘩をしました。なので、あんちゃんは今日は自分で6時間過ごします。ですが、喧嘩は先生とあんちゃんでしているので、みんなは休み時間や給食等あんちゃんといつも通りに仲良く過ごしてください。」

クラブ活動の一件で大喧嘩をした翌日は金曜日。

その場にいなかった面々にも事情が分かるように、改めて説明をする。

なるほど、とみんな納得しながら、

「あんちゃん馬鹿だなぁ、ととろん先生しつこいのに。」

とはやくんはなんだか楽しそうにぼやく。

「でもあんちゃんまだ来ないね。」

と、まなさんはあんちゃんのことが心配そうな感じだ。

「でも多分あれだけ自分で言い切ったけど、よく考えたら大変だとあんちゃんは気づくと思うので、先生はもしかしたらあんちゃんは今日は休むかもしれないとも思っています。昨日の今日なので、その時は先生も放っておきくつもりです。でも、もし月曜日まで休むことになるようだったら、家まで行こうと思います。ど説教と仲直りをしに。」

「先生、ど説教はあんまり強くしてあげないでくださいね。」

と、まなさんはあんちゃんを気遣っている様子。

「僕は、まずととろん先生と喧嘩は一番めんどくさいことになるからやらないようにするけどね。」

と、はやくんは、冷静な分析だ。

そうこうみんなと話していると、あゆ先生が教室にやってきた。

「ととろん先生、あんちゃん今日お休みすると連絡がありました。」

やっぱりかぁ、とそんな感じの雰囲気が教室に広がる。

「何でも自分でできるなんて、無茶いったよなぁ。」

と、そうくん。

「あんちゃんどうしてるかな・・・。」

と、かずくん。

仲間の一人の状態をみんなで共有できるのも、

この子達の良いところなのだけど、全体が暗い感じになってしまったので、

「ごめんね、先生とあんちゃんの喧嘩のせいでみんなまで暗い気持ちにさせてしまって。今日はあんちゃんが休んだのを後悔するくらいに楽しい一日にしていきましょう。」

と、ぼくは子ども達に謝った。

「いいよ、先生。先生はだって、間違ったことであんちゃんを叱っていないし、あんちゃんと本気でけんかをするくらい、あんちゃんを大事に思っているってこどなんだから。」

はやくんは、相手の本心のところまで、深く感じて考えて掴んでくれる。

優しい気づかいの言葉に、どちらが大人なのだと反省するばかりだった。

とはいえ、あんちゃん、ひくに引けないけど行くのが怖い状況になって、

月曜日は学校に来るだろうか。おそらく来ないだろうと踏んだ僕は、

月曜日にあんちゃんの家に言って話すことと、気持ちの整理を、

心の中では静かに整えていった。

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