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子どもの興味を形にするには。「気付けば大イベントのまちたんけん」(中)

「・・・はい、それでは当日はよろしくお願いいたします。失礼します。」

受話器を置くと、思わぬところでほめられた。

「ととろん先生は、電話の応対が上手ね。私なんか電話口で話すだけでなんだか緊張しちゃって、お願いの時に伝え忘れとかも出てくるから。」

子ども達のたんけん場所へのご了解の確認の電話は、

9つの場所すべて、快諾を頂き、まちたんけんの準備は順調に進んでいた。

「教員になる前はコンビニの店長や、コールセンターで働いていたので、電話はだいぶ慣れてるのだと思います。」

と、答えるとO先生、N先生、二人でもう一度感心してくださって、

「色々な仕事を経験しているから、こうしたところでも自然に気持ちの良い電話口の対応が身についているのね。素晴らしいわ。」

普段褒めることを仕事にしているので、褒められるのには慣れていない。

褒められるほどのことではないと自分では思っているのもあって、

少し気恥ずかしくなったが、嬉しかった。

3クラスを3人で受け持っている2年生のチーム。

O先生とN先生は、僕の母と同じくらいの年齢で、チームの雰囲気は、

二人のお母さんと一緒に2年生を預からせてもらっている、

そんな感じだ。そしてお二人の仕事のさばき方は、

本当に気持ちの良いくらいテンポよく、抜かりがない。

僕が電話での確認を撮っている間に、

N先生は子ども達のたんけんバックの数の確認と、ワークシートの印刷を。

O先生は、保護者ボランティアの方への、ご協力のお礼と、

当日の引率で注意しておいてほしいことをまとめたプリントの作成。

子ども達が、安全にかつ充足感をもって活動できるように、

事前の準備も、3人で役割分担をして進めていく。

そうすると、お互いの間で交わされる言葉も、

自然と温かい言葉ばかりになってきて、

子ども達の達成感という目標を真ん中にして、

始まる前から、あったかい気持ちでこの活動に向き合えていた。

9つのチームは当然の1組2組3組ごちゃまぜなので、

生活科の時間は2時間続きの単元で3クラス合同で。

それぞれ希望する場所のチームごとに集まって、

どんな質問をしようとか、カメラ係は誰にしようとか、

リーダーは、副リーダーは。など、メンバー内の話し合いは、

どこのチームも活発に行われていた。

全員がたんけんバックにワークシートを持っていくけど、

N先生の作ってくれた大きめの余白であっても、

2年生が全部の質問を書くのは、まだまだ難しいだろう。

そういうところに気付くように、先生側がそれとなく声をかける。

「質問毎に、答えてもらった事を書く人も分担していた方がいいかもよ。」

「たしかに!じゃあ質問も、数を考えないといけないね。」

「一人一つずつの質問はできるかな・・・。」

「先生、質問は一人一つはできますか?」

「一人一つずつくらいは全然大丈夫だと思うよ。あと、みんなが考えた質問に似たようなものがかぶってないかも確認してごらん。」

2年生の子ども達の脳コンピューターは、こちらの声かけに応じて、

どんどん話し合いを活発にしていく。

成長真っ盛りの子ども達は、体と同じように脳も活き活きと活動しながら、

自分たちのまちたんけんを全力で取り組もうという意気込みで、

考えを出し合って共有し合うことを楽しんでいるようだった。

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