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20240414

西高島平。首都高沿いをひたすら歩いていくと、板橋区立美術館がある。廃墟が点在するような住宅街とは裏腹に、会期最終日ということもあってか大盛況。第二次世界大戦前のわずかな戦乱期の間に隆盛を極めた日本のシュルレアリスム芸術。シュルレアリスムの始まりは詩だったのが驚き。どうしても絵の方が表現する方法としては適している気がするので、詩としてのシュルレアリスムを知れたのはよかった。一方で絵としてのシュルレアリスムでは、無意識の正体とも言える「心」の所在を、肉体の内側と脳内のどちらで捉えるかで作風が大きく分かれていたのが印象的だった。私にとっての「アート」という言葉に集約される芸術作品に対するイメージの根源としてダリやマグリットの作品があるからかもしれないけど、昨日見た夢を必死で思い出すように朧げで、そうした普段知覚できない無意識を絵として昇華する行為こそ、芸術的たるものではないか。ゆえに無から生み出した苦しみみたいなものもそこに滲んでいたような気がする。彼らが表現しようと試みた潜在的な不安や欲望といった、直視するには耐えないようなもの。弾圧された期間もあったらしいけど、決して思想と直結するものでもないと思うんだよね。そういう人間が人間たる所以にスポットを当てることは、誰も見たことがないものを見出すようで、私はそこに芸術性とか崇高さみたいなものを感じました。

帰りに門前仲町に寄って、本を買ったあとバス停にいたら桜が雪みたいに散っていた。やっぱり先週末が見頃だったのだ。わ〜と思って見上げると、枝の隙間から三日月が見えた。風情があるじゃない。

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