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とある消防士の話

この時期になるとあちこちで野焼きが行われる、そして火事も増える。野焼とは野外焼却であり、田んぼの稲わらの焼却や、田んぼの畦(あぜ)焼きは、一応例外とされるが、この写真のように強風などで火柱が上がるほど燃え上がったり、車道にまで迫って来た場合は消火対象となる。

消防士は季節柄、田の野焼きだと解っていてもヘルメットをかぶり、防火服を着て、酸素ボンベを背負い出動する。野焼きをする側は「ただの野焼き」でも、消防士には「火事」なのである。

子供の頃、新聞紙から煙が出てる小火騒ぎがあって、出動した消防車がホースで水を放射して新聞紙の煙が消えた。確かに、道路を規制しての大掛かりな消火劇であり、バケツ1杯で消せる火なので、野次馬からはそれが異様な光景にも見えた。

その時、野次馬の中の悪頃坊主がこう言い放った、

「なんだよ、あんなの消すのに大げさだな、もう終わりかよ、面白くねーのー!」


すると、その消防士の隊長とおぼしき人がその子に激怒し、こう言った、

「火事が起きることの何が面白いんだ!君の家が燃えても、家族が死んでもそう言えるのか!?」


その出来事を思い出した。

消防士は勇猛果敢だとか、そういうことではなく、消防士の中には命とは何であるかを知らしめてくれる優秀な消防士も存在するのであります。

そういう思い出が消防士の私の思い出という話でありました。


※野焼きは死亡事故が多数出る危険な行為で、例外を除いては法律で禁止されています、くれぐれも放置野焼きなどしないようにしましょう。

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