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ドイツの包丁の話

刃物を扱う仕事の人なら誰でも知っているだろうドイツのゾーリンゲン、ゾーリンゲンの刃物とはドイツ中西部の都市で刃物の町として知られている。現在でも1000社以上の刃物メーカーが活動しており,世界に名だたる刃物の本場として知れわたっています。

なもんで、ゾーリンゲンの刃物を使うとなんか高級感あるように思えますが、はっきり言って刃物の製造技術と品質水準は日本の関や堺の方がはるかに優れています。

しかもそれだけでなく、機能的にも問題ありでして、私の持っているヘンケルスの牛刀も写真のように刃元の顎の部分が太くなっていまして、それがあるとめっちゃ砥石で研ぎにくいです。今ではヘンケルスも殆ど日本で作られますが、ヨーロッパの包丁は骨を叩いたりするためにこういうのが結構ありまして、こいつがあるってことはドイツで作られた業物ってことになるんですが、正直、グラインダーで削り落としたいくらいなんです(笑)



ですが、

ですが、ですが!(。-_-。)

これがいいんですよ、この根元にある無駄な分厚さ!日本の技術は確かに凄いです、ドイツのゾーリンゲンのヘンケル社は1731年に設立されたので、日本でいったら享保16年です、その頃の日本は享保9年に暴れん坊将軍が目安箱の意見を採用して小石川療養所を設置したりしたのに、それから8年後の享保17年にイナゴが大発生して97万人もの餓死者が出てすったもんだの時代に、すでにカンパニーとして設立した老舗の会社の匠の技をあっさり抜いてしまうのだから日本は凄いです。

ですが、日本の技術には華が無い。

もうひとつの私のシェフナイフの握りの留め金はさりげなくスペードの形に施されています、ハサミもそうですね、必ず何かの細工や変形が施されている、スタンダード(標準的)な形状の中のどこかにデラックス(豪華)を忍ばせるゾーリンゲンの刃物。

デラックスな物を作り、その中「に」最高の性能と品質にこだわるヨーロッパ製、

スタンダードな物を作り、その中「の」最高の性能と品質にこだわる日本製。

道具を大切にするためには、使いこなすためには、道具を知らなければならない。「に」と「の」の違いは道具の性能に現れるのではなく、己の仕事に現れるのであります。

ゾーリンゲン製鋏

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