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随所に散りばめられた「居心地の良さ」と「ストレスフリー」―「ドーミーイン」について、書けるだけ Vol.1

ドーミーインpremium神田(引用:ドーミーラボ 撮影:竹田武史)

昨今、「ドーミーイン」というホテルの名前もすっかり社会に認知されるようになってきました。サウナブームやGo Toキャンペーンなどの施策により多くの方にそのサービスが知られることになったり、「ドーミーイン芸人」がアメトーークで放送されたり。

ドーミーインは特にここ十数年でじわりじわりと評判が広がり、棟数は国内94、海外1の規模にまで成長してきました。

今回、ご縁あってインターネットラジオにて、ドーミーインについて私がお話をさせて頂く機会を頂きました。
放送ではお話しきれなかったこと、私がドーミーインについて持っている引き出しをシェアできるだけ記しておこうと思います。細かすぎて書き切れるかとても不安なのですが。

「住まい」の概念から起こしたイノベーション。随所に散りばめられた「居心地の良さ」と「ストレスフリー」。

ドーミーインのルーツは「寮」

「ドーミーイン」を運営しているのは、東京都千代田区に本社がある株式会社共立メンテナンスという会社です。1979年に創業したこの会社は、社員食堂の給食受託事業を皮切りに、学生向けの下宿「学生会館(=学生寮)」事業を始めました。

学生会館ドーミーの居室(撮影:白浜 聡)

学生会館は、朝夕2食がつき、寮長・寮母さんが常駐管理している住まいです。学生会館は多くの大学や専門学校、予備校の指定寮・推薦寮として利用され、棟数・規模を拡大。やがて、当時まだ企業が自前の寮を保有するのが当たり前だった1980年代に「1室から社宅として借りられる食事付きの社員寮」として社会人寮「ドーミー」事業をスタート。こちらも学生会館とともに棟数・規模・出店地域を増やしていきました。

ある時、ドーミーを利用している企業から「出張の時に、その地域にあるドーミーに泊まりたい」という要望が上がり、ビジネスホテルの運営に乗り出します。それが「ドーミーイン」です。ちなみにドーミーは、「寮」を意味する「dormitory(ドミトリー)」からの造語です。

「寮」にルーツを発するドーミーインは、単身寮の運営で積み重ねたノウハウを活かしながら、その姿を作り上げてきました。そこには「ホテルはこうあるべき」ではなく「ユーザーが求める設備やサービスを追求する」という概念があり、それまでのホテルの概念にはなかった様々な要素が生まれたのです。

自然と生まれた「住まいのような」という発想

1つ目は「客室」。ホテルの部屋といえば寝ることがメインですから、ダウンライト等があるだけで照明が暗いことがよくあります。
一方、寮の居室にルーツがあるドーミーインでは、部屋の照明は家庭にも使われるようなシーリングライトが基本。自分の部屋のような感覚で寛いでもらいたいという考えが採用されています。ベッドも同様にシーツの間に身体を入れるのではなく、掛け布団式で家で寝る感覚に近いです。

ドーミーインpremium神田の客室(提供:株式会社共立メンテナンス)

その他、施設により多少の差はありますが、枕近くにコンセントを備えたり、寝室部分と扉部分の間に仕切り扉を設けているなど、「部屋の居心地」を追求した設計になっています。これらには、単身寮の部屋を多数手掛けてきたノウハウも生かされているのは言うまでもありません。

2つ目は「大浴場」です。学生寮・社員寮では、風呂は共用の大浴場が設けられているケースが多いのですが、その概念をビジネスホテルに持ち込みました。通常、客室数をなるべく確保するために、こういった施設を設けることは避けられるものですが、寮の風呂で疲れを癒すのと同様に、ましてや出張先なのだからより疲れを取ってもらう大浴場が必要な設備なのだと、当時の現場責任者の思いで実現したのです。

ドーミーインpremium和歌山の大浴場(提供:株式会社共立メンテナンス)

ドーミーインの大浴場は、脱衣所から露天風呂、サウナに至るまで、ストレスのない空間を実現しています。ユーザーからもよく評価されるのは、「洗い場のシャワーが途中で止まらない」こと。通常の家庭にもあるような温度調節付きの混合栓が使われており、一定量で止まるレバー式ではありません。いちいち途中でお湯が止まるストレスがないのです。他にも、滑りにくい床タイル、湯船の出入りに掴まることができる「謎の石柱」など、安心設備も雰囲気を壊すことなく存在しています。また、極力天然温泉を使うことはもちろん(温泉が掘れない場合はタンカーで湯を運んでいます)、サウナの湿度・水風呂の温度まで、細かい工夫がなされています。

3つ目は、やはり「食事」でしょう。もともと寮などで食事提供を行っていたことから、1日の基本は朝食から、という概念が当初からあったのです。
当初は寮の食事メニューを活かして、定食スタイルの朝食を提供していましたが、よりたくさん食べてもらえる工夫として、ビュッフェスタイルが増えていきました。さらに、同時に展開しているリゾートホテル(共立リゾート)で提供する食事のノウハウも加わり、ご当地のグルメ・食材をふんだんに取り入れたメニューが各棟で増えていきました。北海道エリアの「海鮮丼」や博多の「水炊き」「もつ鍋」などが良い例でしょう。

ドーミーイン博多祇園のご当地メニュー「水炊き」(提供:株式会社共立メンテナンス)

朝食メニューについては様々な工夫があり、この章ではとても書ききれませんので、次章以降でできるだけ触れたいと思います。

Next-Vol.2 サービスは現場から生まれ、変化し、進化する。

共立メンテナンスの源流かつ現在も主幹事業である「寮事業」。現在学生寮を「学生会館ドーミー」、社員寮・サービスアパートメントを「DORMY BIZ」として全国に展開しています。年間、全国で約2万3千人の学生、約1万2千人の独身・単身の社会人の方が利用しています。
学生会館ドーミー https://dormy-ac.com/
DORMYBIZ https://www.dormybiz.com/

<参照>
ビジネスホテル「ドーミーイン」と学生寮「ドーミー」って関係あるんですか?人気のサービス・設備のルーツについてドーミーの社員が語ります。


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