透明駒解答選手権対策講座(6)

6、強欲・禁欲

 強欲と禁欲は対になるルールです。これらの定義は以下の通り。

強欲:着手が複数あるときは、その中から駒取りの着手を優先しなければならない。
禁欲:着手が複数あるときは、その中から駒取りでない着手を優先しなければならない。また、詰の判定は通常の詰将棋に準じる。

 強欲はあくまでも「駒取りが優先される」というルールですから、もし合法な着手の中に駒取りの手がない場合は、勿論駒を取らない手を指して構いません。同様に禁欲も、駒取りを避けられない場合は、駒を取って構いません。
 ではまず、透明駒を使わない作例を見てみましょう。

6-1 禁欲協力詰 1手


「28銀迄の1手詰に決まっているじゃないか!」と思われたかもしれませんが、それは誤解。正しくは28金迄の1手詰です。どういうことか、ご説明しましょう。
 現在先手番だとすると、この局面に至る1手前には後手の着手があった筈です。それは何でしょうか?すぐにお分かりのように、それは38玉が39に動く手しかありませんね。では更にその1手前の着手は何だったのでしょう?
 48に金を打ったとすると、既に58飛で王手がかかっていたことに矛盾するので、48金はここで銀を取っています。つまり、出題図の2手前の局面は、たとえば以下のようなものだった筈ですね。

6-1a 禁欲協力詰 1手


 しかし、これは不可能局面です。何故なら、ここでの48金という駒取りは、禁欲というルールに反した着手だからです!2手前の金の位置が47金ではなく59だったとしても、全く同じ結論に至ります。従って、出題図は現在先手番ではないということが証明され、後手から28金迄の1手詰が正解となります。

 続いて、透明駒を導入した例を見てみましょう。

6-2 強欲協力詰 1手(透明駒1+1)


 正解は12銀迄の1手詰です。でも、何故これで詰んでいると言えるのでしょうか?それを考える手掛かりとなるのは23香です。
 強欲というルールから、駒打ちよりも22香成という駒取りの方が優先される筈ですよね。この駒取りが不可能だとすると、23香は動けない状態である、即ちピンされていることになりますね。すると、
①先手玉が41にいて、後手の角が14にいる
②先手玉が45(56…)にいて、後手の角が12にいる
のどちらかになりますが、初手12銀と打てば②が否定されますから、これで確かに詰んでいます。

          (詰め上がり)

6-2a 強欲協力詰 1手(透明駒1+1)


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 これまで6回に渡って、第3回解答選手権で使用されるフェアリールールの定義と作例を見て頂きました。最後までお読み下さり、有難うございます。
 解答選手権の開催は、一週間後を予定しています。詳細につきましては、この後アップされる「第3回透明駒解答選手権開催のお知らせ」をご覧下さい。

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