第6回透明駒解答選手権(解答・解説)後編

           6 (12点)

ばか詰 5手(透明駒1+1)*余詰

☆本作には、初手より27玉、24玉、22X、15玉、16香迄の余詰があった(初形で26に玉方透明桂(角)がいて、攻方は透明飛で香を取っている)。指摘は茶園、中村の両氏。検討不足をお詫び申し上げたい。
☆ちなみに、27玉、25角、同X、15玉、26角迄という解答もあったが、これは初形で26に攻方透明銀が、そして34に玉方透明桂がいたとすれば逃れている筈。
☆そもそも22香は、X、15歩、X、13香、Xまでという余詰を指摘されて追加したもの。玉方駒を追加配置して余詰を消すのは新たな余詰筋を誘発する危険性が高いことを知りながら、全くヘボな直し方をしたものである。頭では分かっちゃいるんだけど、ついやってしまうんだよなあ。
☆作意解はゼロだったので、以下に修正図を載せておこう。興味のある方は、是非作意順を探してみて下さいな。

          (6の修正図)

ばか詰 5手(透明駒1+1)


           7 (13点)

ばか詰 5手(透明駒1+1)

X、41玉、X、32角、42銀迄5手。

☆6番を別にすれば、今回最も作意解が少なかった作。何故これで詰んでいると言えるのか、手順の説明をしてみよう。
☆4手目の角合から、3手目Xは透明角での王手だったことになる。そして32角に構わず42銀と指せることから、この時点で43に透明駒がいることも分かる。これはどちらの透明駒だろうか?
☆もし玉方だとすれば、攻方は初手と3手目で連続して透明角による王手をかけている筈だが、一寸考えれば分かるようにそれは不可能だ。従って、詰め上がりで43にいる透明駒は攻方のものである。
☆すると初手は、攻方透明駒が43で玉方透明角を取る手だったことになり、4手目で角は売り切れているので、この透明駒は金または小駒成駒である。駒種は確定しないが、いずれにせよその透明駒は42への利きを持つので、これで詰んでいることが証明された。
☆作者がやりたかったのは、「最終手を指して初めて初手が分かる」という構成だ。このように時間軸を遡行して進むロジックが透明駒の面白みであり、本質でもあると思うのだが、如何だろうか?
☆ただ、作意手順の発見は相当難しかったようで、正解者は以下の3名にとどまった。

茶園-玉が広く詰みそうにない形に見えました。角を品切れにすれば頭銀まで。
さつき-始めからX、72角とする手順がなかなか捨てられずに苦戦しました。
太刀岡甫-最難問。戦力不足なので玉方透明駒を取って2枚使うしかなさそうだが、偽逆王手のタイミングが複雑だった。

           8 (8点)

ばか自殺詰 2手(透明駒1+1)

37角、28金迄2手。

☆角打に対して金合とすることで、後手玉が19にいることが判明する。すると局面の合法性より先手玉の位置も39に確定し、これで確かに詰んでいることが分かる。
☆双方の玉位置がたった2手で確定することに面白みを感じての創作。2手でもそれなりに考えるところがあるのは、透明駒ならではだろう。

変寝夢-最後X(例えば47玉)とかはーって思ったら王手放置だった。
金少桂-攻方王の位置なんてどうやって確定させるものか悩んだが、玉方19玉がいるのが判明すれば攻方39王も見えるというカラクリが面白い。
神在月生-自飛遮断 どうぞ隅にて お待ちあれ
NZ-双方の玉位置はすぐに見えるので後は成立する手順を考える。

           9 (13点)

ばか自殺詰 4手(透明駒2+1)

X、57飛、54玉、X迄4手。

☆2手目飛合(疑似逆王手)に対して、悠々54玉と開き王手をかけるのが透明駒らしい一手。56に玉方透明駒が、そして15-45のライン上に攻方透明飛がいると主張している訳だ。最終手は56の透明銀(角)を45又は65に動かすことで、透明飛の王手を受けつつ先手玉に逆王手をかけていることになり、これで両王手の詰め上がりとなる。

茶園-詰んでるのか不安になる最終手。
太刀岡甫-4手目で受かるならば両王手というのが面白い。
NZ-なかなか見えなかった。ピースがぴったりはまったような解後感。

☆ちなみに、ほぼ同様の構図を用いた作として以下のようなものもある。でも、印象はかなり異なるのではないだろうか。こちらも参考までに引用しておこう。

9-a 高坂 研 Web Fairy Paradise 139号(01/2020)

ばか自殺詰 4手(透明駒0+1)

16角、34飛、42金、同X迄4手。

           10 (7+7点)

ばか自殺詰 4手(透明駒0+2)
b)17歩→28

a)89飛、88飛、45角、同X迄4手。
b)91飛、81角、12角生、同X迄4手。

☆トリは思い切り派手に演出した両王手もの。飛-角と角-飛の半透明バッテリー2種を、最大値で構成してみた。
☆手順中のポイントは、b)の3手目12角生。もし成ってしまうと、玉位置が11か21か確定しないので、4手目Xが同玉だった可能性が出てきて逃れ。これが角生ならば初手と合わせて21玉が可視化するので、角を取った駒は72にいた透明飛に確定するという仕掛けだ。

茶園-綺麗なツイン。
太刀岡甫-盤面を広く見るので難しかった。bが両王手か桂でしか詰まないのがヒントになったが、a単体では一生解けなかったかもしれない。
金少桂-半透明バッテリーでの両王手を直感。b)の方、4手目透明玉に取られる可能性があってダメかと思ったけど、3手目角不成で王手することで玉の位置が確定して可視化するのでセーフなんですね。
NZ-b)の方が先に見えた。綺麗な両王手×2。

☆尚、a)で38角、同X、28飛、同Xという解答があったが(つまり、初形で49玉がいて、38角、同玉、28飛、同歩成)、ばか自殺詰において玉方に王手義務はないので、最終手は同歩生の可能性もあり詰んでいない。また、b)で34角、同X、26飛、同Xというものもあったが、こちらは3手目の時点で玉位置が25か16か確定しないので、飛を取った駒が玉だった可能性が残り、やはり逃れている。
☆作者としては、やりたかったことがほぼ満足いく形で表現できて、今回の10作の中では一番のお気に入りである。

総評など

藤原俊雅-開始25分で6問も解けたのにそこから全く手が動かず。透明駒の解図は、瞬間的に見えるか、全く見当も付かないかに二分化される気がする。
☆まるでシナトラ君は、本能で解図しているみたいだね(笑)。
茶園-良い問題をありがとうございます。余詰検討を十分にできなかったのが心残りです。
☆お褒め頂き、有難うございます! 1/100くらいでいいので、検討力を私にも分けて欲しいです(笑)。
変寝夢-まいど。一応参加したよ。全然解かれへんなぁ。お互い歳だけど元気でな。
☆H田と違い、私はまだ若い!(気が若いだけだろ=シナトラ)
原岡 望-2時間考えましたがこれしか解けません。3と5は5分程度、1は20分程度でした。参加することに意義があるということでお許しください。
☆いえいえ、解答を頂けるだけで十分有難いです。今後とも宜しくお願いします。
中村雅哉-慣れないルールに手こずりましたが、自分のような透明駒初級者でもそこそこ解けたので手頃な難度だったのではと思います。
☆難易度調整は一番気を遣っていたところでしたので、それがある程度旨くいったようで良かったです。正直、作り手としては難解作を並べて「透明駒チャンピオン戦」みたいにする方がラクなのですが(笑)。
神在月生-後半で 急に解けずに なりにけり
NZ-序盤はスムーズに解けて調子良いなと思ったら6、7あたりで詰まるいつものパターンでした。この辺りの作品も解けるようになりたいです。
☆今改めて見直してみれば、直前にtwitterで紹介した練習問題はかなりのネタバレを含んでいたことがお分かりかと思いますが、余り解図のヒントにはなりませんでしたか?
変寝夢-覆面駒がもっと注目されないかな。
☆それは私も以前から同じことを思っています。透明駒がこれだけ開発されている今だからこそ、覆面駒で表現すべき筋と透明駒で表現すべき筋を、もう一度整理し直す必要があるのではないでしょうか。

解答成績発表

ではお待ちかね、解答成績発表に参りましょう。今回の成績と順位は以下の通りです。

 御覧の通り、10題すべて正解で、2番の余詰も指摘された茶園さんが、1、3、5回に続き優勝されました! 何も賞品はありませんが、茶園さんには次回開催まで「透明駒解答王」を名乗る権利が与えられます。あと1回で「永世透明駒解答王」になれますので、是非次回も頑張って下さいね(笑)。

 第7回透明駒解答選手権については半年後を目処にまた開催したいと思っていますが、今回参加者が減少したことをふまえ、開催時期や開催方法についてはもう少し考えてみます。この件について何かご意見があれば、私宛にお知らせ下さい。

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