新・透明駒源泉館(解答編 その2)
(6)
ばか詰 3手(透明駒1+0)
X、31玉(X=21銀)、32銀成迄3手詰。
(詰め上がり)
初手Xは、22にいる透明駒が動く手。次に31玉とすると、初手が21銀生だったことが証明されるので、3手目32銀成迄の詰を得る。銀はその利きからして、恐らくは透明駒として最も確定しやすい駒ではないだろうか。
このように二枚飛車を並べた形で思い出されるのが、上谷氏の傑作。御存知ない方は、上の作をヒントにして是非こちらも解図してみて欲しい。
(参考図)上谷直希 (Web Fairy Paradise 137, 11/2019)
ばか詰 5手(透明駒2+2)
(7)
ばか詰 3手(透明駒1+0)
17飛、27角、46馬(X=38桂)迄3手詰。
(詰め上がり)
2手目27角合が逆王手のように見えるが、それを放置して46馬!とすることで、38桂が証明される(角は売り切れ)。所謂「王手放置(疑似逆王手とも言う)」の手筋だ。
実はこれ、以下の自作の頭2手をカットしたバージョン。こちらは角を相手に渡すところからはじめたので、相当難解だったようだ。
(参考図)高坂 研 (Problem Paradise 73, 01/2016)
ばか詰 5手(透明駒2+1)
(8)
ばか詰 3手(透明駒1+0)
X、17角、X(=26馬)迄3手詰。
(詰め上がり)
2手目角合によって逆王手をかけさせるところは(7)と似ているが、こちらの主張はまた別なところにある。つまり、初手に開き王手をして、3手目に26に来ることができる駒は馬しかないと言いたいのだ。
ちなみに、配置を全体的に2段上げると、3手目Xの候補に成桂も入ってくる。しかし、それでも作意順の表記はX、17角、Xのままだ。つまり、透明駒はその性質から1つの手順表記に2つ以上の手順を含ませることが可能なのである!このことを意識的に表現したのが以下の図。私はこれを「単解のツイン」と呼んでいる。
(参考図)高坂 研 (Problem Paradise 82, 04/2018)
ばか詰 3手(透明駒1+2)
(9)
ばか詰 5手(透明駒0+2)
18金、同X、28金(X=18飛)、同X、27金(X=28角)迄5手詰。
(詰め上がり)
初手18金を透明駒に取らせておいて3手目28金と打つことで、着手の合法性により18にいる透明駒は先手玉に王手をかけていないことになり、18に透明飛が浮かび上がる。
全く同様の原理により、28金を取った透明駒が角であることも、5手目に27金を打つことで証明される。尚、先に28金とすると、18に飛が入れなくなるので詰まなくなる。
実はこの作、確定する透明駒を3枚にしたバージョンもあるのだが、流石にくどいか。
(参考図)
ばか詰 7手(透明駒0+3)
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解いてみた方はお分かりと思いますが、今回の9題では飛~歩の7種類の透明駒に加え、馬と飛+角が手順中に判明しています。心残りだったのは、「3手のばか詰」という縛りでは、攻方透明玉が判明する仕組みを見つけることができなかったこと(レトロを加えればできると思いますが)。誰か挑戦してみて下さいな。
最後になりましたが、今回の開催にあたり作品を検討して頂いた馬屋原氏に、改めて感謝の意を表したいと思います。私の貧弱な検討力のみでは、全題完全は絶対に達成できなかったでしょう。
では、今回の「新・透明駒源泉館」はこれにて閉館としたいと思います。最後までお付き合い頂き、有難うございました!
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