透明駒の解き方とその手筋(3)

(3)玉方透明駒の無力化

 普通、最終局面においてまだ玉方の透明駒が残っていると、詰まない筈ですね。しかし、ある種の局面においては、玉方透明駒が残っているにもかかわらず詰を宣言できます。では、どのような場合にそのような状況が生じるのか、実際に見ていくことにしましょう。 

           (G)

協力詰 5手(透明駒0+2)

27馬、19玉、37馬、18玉、19香迄5手。

 すぐに19香とするのは、同玉と取られても、或いは同Xと取られても詰みません。27馬-37馬とスイッチバックしておくのが巧い事前工作で、これで27・28に透明駒がないことが証明されるので、今度は5手目19香が成立します。
一応玉方の透明駒は2枚にしておきましたが、これは5枚でも10枚でも同じです。「透明駒の種類は不明だが、とにかく特定の枡への利きはない」という状況を作り出せば、たとえ玉方に何枚透明駒があろうとも堂々と詰を宣言できる訳です。

           (H)

協力詰 3手(透明駒1+2)

99馬、21玉、11馬迄3手。

前述の筋を大駒の最遠移動という形で表現したのが、通称「掃除の手筋」(line clearance)と呼ばれるものです。初手に99迄行ってから11に突っ込めば、この対角線上に玉方の透明角がいないことが保証されるので、これで詰んでいますね。こちらも又、玉方の透明駒が何枚あろうと関係なく詰んでいます。

           (I)

協力詰 3手(透明駒1+2)

14角生、13玉、23角成迄3手。

 詰将棋でよくある両王手の詰め上がり。透明駒においても、両王手は強力な手段になります。
 3手目23角成とされると、たとえ玉方に何枚透明駒があろうとも、馬と香を一度に取ることはできないので、これで詰んでいます。ちなみに、同じようでも12角生、11玉、21角成だと、13(又は14)に玉方透明駒がいる可能性が排除できないので、4手目21Xと馬を取られて逃れ。

 このように、両王手が決まれば、玉方透明駒について全く気にすることなく詰を宣言できます。なので、もしも解図の際に玉方透明駒が多くて全然詰め上がりが想定できなかったら、両王手を目指すのが良いかもしれませんね。

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