第6回透明駒解答選手権(解答・解説)前編

 今回の参加者は、全部で16名。前回は24名もの方が御参加下さり気を良くしていたのだが、何故か今回はかなり減少してしまった。GW開催というのは良いアイデアだと思ったのだが、そうでもなかったようだ。或いはもうこの催しが飽きられてしまったのか、はたまた作品のレベルが低すぎて解答を送る気にならなかったのか…。
 まあ、今更愚痴を言っても始まらない。ともかく、解答・解説を始めることにしよう。

           1 (6点)

かしこ詰 3手(透明駒1+0)

19銀、同玉/17玉、27玉/36玉迄3手。

☆スターターは明快なODT。後手玉が19銀を取れば透明角で、17に逃げれば透明飛で透かし詰という訳だ。

さつき-2手目の応手によって最後に王手する駒が変わるのが面白いです。
太刀岡甫-飛や角が棋譜に表れないのが透明駒らしい。攻方玉の動きを効率的に限定している。
神在月生-隅逃げに 二七銀は お邪魔虫
藤原俊雅-バッテリーの邪魔にならないように捨駒する。25銀は残念な配置か。
☆玉方16歩くらいで済めば良かったのだが、泣く子と余詰には勝てません。
☆ほぼ全員正解で、客寄せの役割は十分果たせたようだ。

           2 (8点)

かしこ詰 5手(透明駒1+0)*余詰

34馬、同歩、13歩、21玉(X=22角)、33角成迄5手。

☆初手から13歩と打つこともできるが(打歩詰ではない!)、これは22玉とされ23透明桂の存在を主張されて逃れ。
☆この逃れ筋を消す為に、予め34馬と捨てておくのが狙いの一手。これにより23に透明駒がいないことが証明されるので、3手目に13歩とすると玉も今度は21に逃げるしかない。そして、この手が22透明角を可視化するので最後は33角成で詰むというのが、作者の描いたシナリオだった。

金少桂-透明駒を攻方23桂にされる可能性を先んじて消す馬捨てが絶妙。
太刀岡甫-23を通すための捨駒。歩の跡地に角を成る感触が良い。
中村雅哉-透明駒が23桂の可能性を消す初手が見えにくかった。52馬が透明駒の開き王手を誘う巧い配置。
☆52馬で開き王手する筋は多分大丈夫なのだが、思いもよらぬ余詰筋があった。
茶園-14龍から余詰んでいそうです。
・13合には同X以下
・22玉には34馬以下
・21玉には22歩32玉53馬以下
☆ひえ~、恐れ入りました。14龍なんか、1秒も読んでいなかったよ。
☆25角にすれば大丈夫そうだが、余りに紛れ不足か。

           3 (8点)

ばか詰 3手(透明駒2+0)

63銀、64玉(X=55桂・65桂)、53角迄3手。

☆2手目64玉と突っ込むと、一遍に2枚の透明桂が姿を現す。ここに面白みを感じて頂けるかどうか。

NZ-あえて非合法に見える手を指す透明駒の基本手筋。
金少桂-いっぺんに全容が解明する2手目が爽快。
神在月生-二王手を 防ぐや我ら 坊主駒
さつき-2手目で一気に桂が2枚出現。どこか手品みたいでした。
太刀岡甫-見るからに64が怪しい。詰上りに不要な駒がないのが良い。
☆詰め上がりでは、6枚もの駒が不器用ながらもお互いに支え合っている。これも見ようによってはユーモラスではないだろうか。
☆本作も、ほぼ全員正解だった。

           4 (8点)

ばか詰 3手(透明駒2+0)

X、14飛、X(=12桂成)迄3手。

☆初形で24に一枚透明駒がいるのは明らか。そこで初手は透明香を打って、飛合を出しておく。すると3手目Xは24透明桂が12に成ったことに確定し、これで詰。
☆初手から23Xと銀を取るのが怖いが、3手詰なので何とか逃れているようだ。

藤原俊雅-これで桂以外の可能性を消せるとは!解けた中では一番驚いた。
☆これがシナトラ君にウケるとは!
金少桂-消去法で24の攻方透明駒を桂に確定させる。桂以外の最後の可能性を消す2手目限定飛合がぴったり。
神在月生-持駒に 秘めたる香で 飛を誘い
中村雅哉-飛合させて24の透明駒の飛の可能性を消す。この場合最終手は12桂成と書くのが正しいのでしょうか?(Xを動かしての王手なら12桂成に限定されるので)
☆ここは透明駒を理解する上で大事なところなので、詳しく説明しておこう。2手目飛合の時点では、まだ24にいる透明駒の正体は定まっていない。3手目が桂成だと決まるのはあくまでも3手目Xと指してからなので、3手目12桂成と書くのは厳密には間違いということになる。反対に、もし2手目飛合をした時点で24透明駒が桂だと確定するのであれば、3手目12桂成と表記することは勿論可能となる。お分かり頂けただろうか。
☆もっとも、解けていることは明らかなので、実際にそういう解答がきたら私自身は正解扱いすると思うが。

           5 (10点)

ばか詰 5手(透明駒0+3)

19香、21玉、11香成、同X、13桂迄5手。

☆お馴染みの「掃除の手筋」。香の最遠打によって1筋に玉方透明飛はいないことが示され、これより4手目に成香を取った駒は透明角ということになる。これが22を通過していることから、5手目にとどめの桂を打ったとき、盤上にはもう13に利きを持つ透明駒が存在しないのだ。
茶園-最遠打からの最長移動。きれいですね。
NZ-透明駒ならではの意味付けの最遠打。
竹内亮太-筋は見えやすかったですが、解答に辿り着くまで少し考えました。
太刀岡甫-強力な掃除手筋で、透明駒が何枚あっても受からない。
神在月生-縦掃除 斜めも掃除 香無双
藤原俊雅-いつものLine clearance。「あえてLine clearanceをしないことによって○○が可能になる」みたいな作品も見てみたい。
☆既にこの筋を知っている人にとっては「またあれか」となるかもしれないが、透明駒普及の意味も込めて毎回「透明駒における手筋もの」のような作も入れるようにしている。一部の解答者にとっては物足りないかもしれないが、ご理解頂きたい。

(明日へ続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?