第1回透明駒解答選手権(解答・解説)前編

まず最初に、解答成績一覧を載せておこう。

 ご覧の通り、第1回透明駒解答王は茶園氏に決定した。作者としては、5番、6番、10番をクリアできるかどうかの勝負になるだろうと思っていたので、このうち6番と10番を見事正解した茶園氏の優勝は順当なところだと思う。次点は、5番の正解を入れたまゆしぃ氏。5番と6番は、いずれも正解者が1人のみだった。
 初めての催しなのでどうなることかと不安だったが、12名の方から解答が集まり、出だしとしてはまあまあか。成績はともかく、解答参加してくれた全ての方に感謝申し上げたい。
 尚、たくぼん氏は本来2位の得点なのだが、1時間半での解答ということで、参考記録扱いとさせて頂いた。ご了承願いたい。(2時間程度かけたというシナトラ君も、同じく参考記録としました)

 作品の難易度については、完全に読み間違えたようだ。フェアリールールはポピュラーなものばかりだし、その中でもキルケ2題は特に簡単。手数にしても、3手詰が7割を占め、最長でも4手詰。5手詰すらないのだ。正直言ってこのレベルでは、解答強豪の人たちは30分とたたないうちに全部解けてしまい、時間勝負になってしまうのではと危惧していたのだが…。今にして思えば、せめて解答時間を1時間半にすべきだったか。

 実は余詰が1作出たのだが(4番)解答競争にはほぼ影響はなく、その他の作は大丈夫だったようだ。私自身の検討力はほぼ0に近く、今回の創作でもファーストトライで完全だったのは7作のみ。もし独力で開催していたら、どうなっていたことやら。豪腕検討者2名(吉岡、堀内の両氏)に、改めて感謝したい。

では、作品の解答・解説に移ろう。

           1(5点)

ばか詰 1手(透明駒1+0)

23馬迄1手詰。

 局面の合法性を考慮すると、直前の玉方の着手がある為には22に攻方の歩又は香がいなければならない。従って、11馬、22馬或いは22金はillegalであり、11金は同玉と取られてしまう。
 軽いレトロで幕開けの心算だったが、作者が私で設定が1手詰にもかかわらず、レトロが頭に浮かばなかった人がちらほら。修行が足りませんぞ(笑)。

           2(7点)

ばか詰 3手(透明駒1+1)

X、43飛、22と迄3手詰。

 初手透明角(馬)の王手に対し飛合をさせてから22ととすれば、これが合法な着手であることから23に玉方透明駒があることが示される。この透明駒が真後ろに利きを持つ可能性はないので、これで詰んでいる。
 一見非合法な手を指すことにより透明駒の位置や種類を証明するというのも、透明駒における基本手筋の一つである。

           3(10点)

ばか詰 3手(透明駒1+2)

99馬、21玉、11馬迄3手詰。

 初手99馬が主眼手。最終手を取れる玉方角が11-99を結ぶ線上に存在しないことを示す、所謂line clearanceの1手である。今回最も多くの正解を集めたが、この筋がそれだけ人気のある証左であろう。
 玉方22歩を追加して5手詰にするかどうかかなり迷ったが(その場合は透明駒2+3となる)、検討者のアドバイスに従い今回は序を削ることにした。

           4(8点)

安南ばか詰 3手(透明駒2+0)*修正図

93歩成、95玉、94と迄3手詰。

 初手が非常に情報量の多い手で、56に透明飛(龍)が、そして58に透明角(馬)がいることが、この1手だけで判明する。
 これが本来の作意だったのだが、解答者は全員X、95桂、97歩という余詰順を答えてきた。言われてみれば非常に自然な手順で、何故これに気付かなかったのか…。57歩→桂で修正できているかな?

 尚、作意に加えてこの順も解答してきた人がいたらボーナスポイントを10点あげようかと思ったが、双方解は一人もいなかった。出題時に余計なことを書くんじゃなかったなあ。

           5(12点)

安南ばか詰 3手(透明駒0+3)

15香、同X、13金迄3手詰。

 2手目に香を取った駒は何であれ先手玉に王手をかけている筈だが、それでも先手は平然と13金を打つ。これが合法な手であることから、15にいる透明駒は歩であり、2筋にも玉方の歩があることが分かる。更にこの歩は、3筋より左の方から飛または角の利きによって飛んできたのだから、玉方の透明駒は飛(龍)又は角(馬)、そして歩2枚だったことになり、透明飛(角)がどこに配置されていたとしても、これらにより13金を取られることはない(これが24金だと、同飛と取られてしまう)。「利き二歩無効」を最大限に利用した作。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?