第7回透明駒解答選手権(解答・解説)後編


           6 高坂 研(12点)

ばか詰 5手(透明駒2+0)

X、56飛、同X、54玉、64飛迄5手。

☆透明香に対して飛合をさせ、これをすぐ取る。これに対し54玉と真後ろに下がることで、飛を取ったのは2枚目の透明駒だということになる。その駒種は不明ながら、いずれにせよ45~65に利きを持つことは確実なので、確かに最終手で詰んでいる。透明バッテリーの応用編といったところか。
ほっと-2手目35金や65金だと逃れる。56飛~54玉が好手
久保紀貴-最終形だけ見ると詰んでなさそうなのが面白い。レトロ的な味がある。
金少桂-56に何がいるかはわからないけど45~65の3マスはこれで押さえられるのか。
上谷直希-似たようなことを考えたことがあるので解けました。35金合の筋は34に桂や角がいる可能性が残りギリギリ逃れか。
太刀岡甫-シンプルな形で捕まっているのが意外。
☆しかし、これまた余詰あり。余詰順は43X、75金、同X、44玉、34金迄というもの(指摘者は茶園、中村の両氏)と、43X、44歩、35飛、54玉、Xというもの(指摘者は神在月生氏)。修正図は以下でどうだろうか?

           (6の修正図)

ばか詰 5手(透明駒2+0)

☆ツブされて、かえって初形の枚数が減り良くなった。最初からこの図で発表したかったなあ…。

           7 高坂 研(13点)

ばか詰 5手(透明駒0+2)

32角、同X、33玉、13玉、X迄5手。

☆まずは41角、同X、33玉、13玉、Xとしてみよう。このとき先手玉が33で取った透明駒は角か桂だが、角だった場合は5手目Xで詰んでいない。入手したいのは桂なのだ。
☆では、41角、32角合、33玉、13玉、Xと進めて角を売り切れにしたらどうだろうか? この場合は3手目に透明桂を入手したことは証明できるものの、玉方にはまだもう一枚透明駒が残っているのでやはり詰まない。
☆ここはもう一ひねりして、32角、同X、33玉とするのが旨い手で、これだと5手目の局面で32に角、25に桂が可視化し、この桂を取れる玉方透明駒はない。よって、これで詰んでいる。
☆今回発表した中で、自作中では一番面白い狙いだと思っていたのだが、如何だろうか?
茶園伸吾-初手が好み。
ほっと-33で桂を取ったことを確定させる。
中村雅哉-点数の割に易しい問題と感じました。まぐれで早く見えただけかも。
久保紀貴-結構悩まされた。ロジックが多重になっていてかなり面白いと思う。
☆残念ながら、これまた余詰んでいた。余詰順は 33玉、X、X、13玉、24角迄というもの(指摘者は太刀岡氏のみ)。単に44飛→54でも修正できているようだが、少し左に寄せることで配置を軽くしてみた。

           (7の修正図)

ばか詰 5手(透明駒0+2)


           8 高坂 研(10点)

ばか自殺詰 2手(透明駒1+2)

34銀、同X迄2手。

☆双方の玉が透明化しているが、たった2手でどちらも可視化させることができる。まず、初手34銀と打てば、後手玉の位置は23か33に絞られる。いずれにせよ、このままでは53飛で王手がかかるので、先手玉か後手の透明駒が遮蔽駒になっている筈だ。ここで2手目同Xとすることで、遮蔽駒が先手玉であること(もし後手の透明駒だと、自ら王手をかけられる反則となってしまう)が判明し、先手玉が43、後手玉が23にいることが確定する。更に、初形局面で先手玉に王手がかかっていないことから、2枚目の玉方透明駒は42にあり、これが34銀を取ったことから桂だと決まる。
☆参考までに、詰め上がり図も載せておこう。

           (詰め上がり図)

springs-凝縮された2手。
ほっと-芋づる式に透明駒が確定していくのが気持ちいい。
中村雅哉-解けてみればこの形しかないのですが、いろいろな形を考えて悩みました。
久保紀貴-これが2手で詰むのかと思ったが、一瞬で情報量が増える。線駒がいろんな意味で活躍するのも透明駒の醍醐味か。
さつき-彼我の玉位置を定める初手の発見が全てでした。
NZ-配置の意味を考えるとこの図に行きつく。
金少桂-初手34銀は直感でわかるが、これで先手玉の位置がどうやって判明するのかわからず、後1手の発見が難問でした。
太刀岡甫-35とによって玉位置が一意に定まる。
藤原俊雅-持駒が歩なら24歩、同X(=角)で簡単なのに、銀のせいでちょっと苦労した。「玉位置を確定させないための不利合駒」みたいなネタもありそうですね。

           9 馬屋原剛(10点)

ばか自殺詰 4手(透明駒0+2)

82龍、X、12龍、同X迄4手。

☆82龍-12龍という動きから、初形で透明玉は32にいて、それが23に移動したことが分かる。この初手82龍が肝心な一手で、うっかりここを92龍とすると、12龍を取ってくれる玉方透明飛の居場所がなくなってしまう。
☆作者曰く「アンチクリアランス手筋のつもり」。確かにこれは、掃除の手筋と対をなすものだろう。面白い狙いだと思う。
ほっと-掃除の手筋の逆手筋。
中村雅哉-これはやることが明白で、すぐ見えました。
久保紀貴-一番悩まされたのが本作。おそらく本作だけで30分くらい使ってしまった。この龍の動きが見えてすっきり。
さつき-82龍と92への駒の存在を匂わせる初手が面白いです。
NZ-最終形が限られているので考えやすい。
上谷直希-波長が合ったのかすぐ解けた。
太刀岡甫-初手が限定されるのが面白い。

           10 高坂 研(15点)

ばか自殺詰 6手(透明駒2+1)

X、19玉、X、89角、X、12角成迄6手。

☆最後は、角のシフマンを最大値で表現した作。初手Xは、27透明銀で18透明飛を取る手。そして3手目Xは99に透明飛を打つ手。これに角合をさせておいて、5手目Xは18銀を29に動かす開き王手(12に透明飛がいる)。これで89角がアンピンされたので、透明飛を取って詰。詰め上がりでは、全ての透明駒が可視化している。
☆手数が長いので配点も大きくしたが、そこまで難易度は高くなかったようだ。
ほっと-詰む形はこれしかないので比較的簡単。
久保紀貴-詰上がりはすぐに見えたが、それを実現する手順を探すのが大変だった。3+0でなく2+1になっているのが憎い設定。
NZ-対策問題にもあったシフマン。取った駒でするのが良い。
金少桂-12に龍か馬でも持ってこないと詰まないなぁと思ったら一瞬で閃きました。まさかのこれが一番短時間でした
太刀岡甫-玉方透明駒を取ることで深みが生じている。

総評など
springs-解けなかった作品の中にはあと少しで解けそうな感触の作品もありました。解答発表を楽しみに待ちたいと思います。
中村雅哉-透明駒は一部マニア以外はとても難しいと思うので、解答選手権とするにしても制限時間2時間は短かすぎると思います(笑)。
NZ-ばか自殺は比較的早く解けたがそれ以外が全然見えなかった。
上谷直希-うーむ、もう少し解けないとなあ。でも楽しませていただきました。
藤原俊雅-ルールは簡単なのに難しかったです。
永安克志-1番が解けず、悔しいです。解答を楽しみにしています。
神在月生-前半は 順調しかし 後がだめ

解答成績発表
ではお待ちかね、解答成績発表に参りましょう。今回の成績と順位は以下の通りです。



御覧の通り、5番の作意と余詰を両方解答された太刀岡さんと、ただ一人4番の余詰も発見されたほっとさんが、それぞれボーナスポイント10点を獲得して優勝を分け合いました。何も賞品はありませんが、お二人には次回開催まで「透明駒解答王」を名乗る権利が与えられます。

今回参加者が減少したことをふまえ、次回は初級戦の開催を計画中です。開催時期や開催方法にについて何かご意見があれば、私宛にお知らせ下さい。ではみなさん、また次回お会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?