令和4年度 自作ベスト3(2)

Web Fairy Paradise 10/2022

かしこ詰 3手(透明駒1+0)

35香 同と/同桂/同玉 43銀成/43香成/14角まで3手。

 これはあくまでも私見だが、透明駒の中で一番開発が進んでいるのはばか詰で、逆に一番遅れているのはかしこ詰ではないだろうか。かしこがばかと異なる点は、主に二つ。一つは「本手順/変化/紛れで透明駒が別な駒種になりうること」、もう一つは「透かし詰が認められていること」である。創作においてここを活かさない手はない。本作では、全ての順を合い利かずの詰め上がりにすることで、対照性と統一性を表現してみた。
 本作では、3つの変化が並列になるように構成したが、勿論これはプロブレムを意識したもの。「変化3つをひっくるめて作意」なのだ。結果稿を見る限り、どれか1つしか解を書かなかった人は殆どいなかったようだし、作者の主張は十分伝わったようだ。まあ、WFPの読者に「変同だから減点」などという固定観念の持ち主はいないだろうから、当然といえば当然か。

 ところで本作、発表時にはルール名が「詰将棋」と表記されていた。WFPの方針のようなので大人しく従ったが、内心ではこれにずっと違和感を抱き続けている。プロブレムのジャンル分けに際して、OrthodoxのところがChess Problemと書かれていたらオカシイだろう。それと同じだ。フェアリーランドでは昔から協力系を「ばか」、非協力系を「かしこ」と表記してきた筈で、それでどんな不都合があるのだろうか?
「詰将棋」という概念は、伝統詰将棋もフェアリー詰将棋も包括する広いものであるべきだろう。大多数の詰将棋愛好家達にとって「詰将棋=伝統詰将棋」であることは認めるにせよ、現在の「詰将棋」の使い方はまるで「『幾何学』という言葉は非ユークリッド幾何学を含まない」と言っているかのように私には見える。

 いつか出る私の作品集では、たとえ「※本作品中には、今日の観点からみると差別的表現ととられかねない箇所が散見しますが、著者自身に差別的意図はなく、作品自体のもつ文学性ならびに芸術性に鑑み、原文どおりとしました。」と注を入れざるを得なくなったとしても堂々と「ばか自殺」と書く心算なので、読者の方は「ああ、この爺は旧仮名遣いで書いているんだな」と思って頂きたい。

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