第5回透明駒解答選手権(解答・解説)前編

 2年ぶりの開催となった透明駒解答選手権。果たしてどれだけ参加者がいるのか心配していたのですが、蓋を開けてみると24名もの方から解答を頂くことができました!みなさまには心から感謝申し上げます。
 今回は、事前に「透明駒の解き方とその手筋」と題して対策講座も開講しました。そこで引用した例題に対応した作品も多数出題されていますので、特にビギナーの方はそちらも含めて再確認して頂ければと思います。
では、早速解答・解説に参りましょう。

           1 高坂 研(5点)

協力詰 3手(透明駒1+1)

13馬、21角合、X迄3手。

☆スターターは軽めの作から。初手馬の開き王手に対する角合は、後で意味が分かる合駒。3手目は透明駒による着手ですが、初形で透明飛(龍)は41以遠にいるので、これが3手目にも王手をかけることは不可能です。よって初手は玉方透明駒を取る手であり、3手目は、その取った駒を打つ手だったということになりますね。そして、それがどの駒種であろうと確かに詰んでいます。
☆尚、角を売り切れにしないと、3手目に33以遠から打つ可能性があるので逃れ(協力詰では、透かし詰は詰上がりとして認められません)。これが2手目の意味付けです。対策講座でいうと、(2-F)と全く同じ筋ですね。

相藤ジャンク-開幕として役割十分の、明快なる合駒問題。
藤原俊雅-ミニマムで好ましい表現。
NZ-透かし詰めの可能性を消す。
さつき-透明駒を取るのは見落としがち。
久保紀貴-トップバッターにしては高級な気がする。

           2 高坂 研(8点)

協力詰 3手(透明駒2+0)

46飛、43玉、33桂成迄3手。

☆一見、初手は飛で王手をかけているように見えますが、2手目43玉が合法なことから45に遮蔽駒があることが分かります。つまり実はこの初手、77以遠にある透明角(馬)による開き王手だったのです。45にいる遮蔽駒が桂であることは、2手目を指した後で判明しますから(角は売り切れで、桂以外の駒だと初形で王手がかかっていたことになる)、3手目は33桂成と駒種を明示して着手することができますね。
☆これは、対策講座の冒頭で書いた「反則の利用」の応用例の心算。全然受けになっていないような2手目が、如何にも透明駒らしい雰囲気を醸し出しているのではと思っています。

永安克志-なんとなく筋は分かったのに、43玉がなかなか見えませんでした。桂の可視化からの33桂成は気持ちの良い手です。
久保紀貴-結構悩んだ。この初手を選んだときの2手目が盲点。
NZ-突如浮かび上がる両王手。
神在月生-苦手筋 手間取り焦る 展開に
kisy-2手目で45桂が可視化されるロジックが面白かったです。

           3 高坂 研(10点)

協力詰 3手(透明駒1+1)

X、X、X迄3手。

☆何となく馬で開き王手したくなるかもしれませんが、それでは詰みません。透明駒の着手を3回連続すると、これに該当するのは
①35角(馬)、26合、同角(馬)
②39角(馬)、28合、同角(馬)
③19香(飛)、18合、同香(飛)
 の3通りしかなく、いずれの場合も確かに詰んでいます。
☆ちなみに、X、X、X が19龍、18合、28龍だった可能性はありません(その場合、龍が直前にいた枡が28しかないので)。ここに一寸だけレトロが含まれていますね。
☆尚、3手目に取った透明駒の駒種は確定しないので、駒台にあっても透明のまま。これは「手余り」とは看做さないことになっています。
☆対策講座では(4-L)が同じ筋ですね。解けなかった方は、是非ご確認下さい。

さつき-何となくXと連呼しているとあら不思議。
上谷直希-44歩は意識していたはずなのに、相当悩みました。
青木裕一-馬の開き王手から考えた人が多そう。
一乗谷酔象-詰上がりが初形と同じ。
相藤ジャンク-44に歩がいる理由を考えて、離して打った時の不詰ロジックに思い至った瞬間のしてやったり感。

           4 高坂 研(8点)

協力詰 5手(透明駒0+1)

89角、11玉、12角成、同X、23桂迄5手。

☆角を最遠打してすぐさま成捨てるのは、このライン上に玉方透明角がいないことを証明する為。すると4手目に馬を取ったのは透明飛ということになり、最終手で確かに詰となります。Line Clearanceを捨駒で表現したので、多少は詰将棋らしさが出ているのではないでしょうか。
☆これが今回最も正解の多かった作。みなさん、「掃除の手筋」がお気に入りなんですね(笑)。
☆対策講座の類題は(3-H)です。

青木裕一-52歩配置に納得。
小泉潔-これは直ぐに見えました。
占魚亭-最遠打からの12角成で透明角の可能性を排除&駒種が確定。綺麗な流れ。
金少桂-なんとなく最遠打を直感。4手目飛しかないロジックが面白かった。
鰈-基本手筋だけど気持ちいい。

           5 馬屋原剛(10点)

協力詰 5手(透明駒0+2)

39金、19玉、71玉、91X、29金打迄5手。

☆先に39金を打っておいて3手目71玉とするのが絶妙の手順で、勿論手順前後は利きません。こうしておけば、4手目に角を取った透明駒が飛(龍)に確定します。この透明飛(龍)が先手玉に王手をかけているようですが、これを放置して5手目29金打とすることで81にも透明駒(角又は桂)があることが証明できます。
☆慌てて初手71玉とすると、91角を取った駒が金であることを否定できませんね。又、3手目93玉だと、92透明角に最終手を取られてしまい逃れ。この辺も巧くできています。

金少桂-玉方透明駒2枚もどうやって無力化するのかと苦戦した。
神在月生-ワンテンポ 開きを我慢し 金否定
相藤ジャンク-舞台が左上と右下で別々に進行している感。手順前後の関連性を見抜いた時、2つの世界は繋がり、大団円へ。
藤原俊雅-Nice dual avoidance! ただし攻方の残りの2手が緩い。
永安克志-解けたとき、感動しました。91同飛(龍)に限定する、敢えての3手目玉移動、角が29に利かないようにする71玉限定の論理が美しいです。

☆「ある透明駒の利きを別な透明駒で止めることで、2枚の居場所を特定する」という高度な技ですが、実はこの作者の透明駒デビュー作が既にこの筋なのです! 記憶に留めておくべき佳作。

       (参考図)馬屋原剛(WFP142 04/2020)

協力詰 5手(透明駒0+2)

22角、41玉、31角成、同X、52銀まで5手。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?