第1回透明駒解答選手権(解答・解説)後編

           6(13点)

安南ばか詰 3手(透明駒1+0)

68角、55玉、67銀迄3手詰。

 わざわざ玉を飛の利きにしておいて67銀と打つのが見えにくい1手。66に透明駒がいることを主張している訳である。打った銀は角の利きになり、また66にある透明駒は銀の利きになっているので、これで玉は確かに捕まっている。一遍に2枚駒を打っているような奇妙な感触が面白いと思っているのだが、如何だろうか。
 尚、57銀、47玉、37角迄の誤答が散見されたが、これは4手目38玉で逃れる。

 ちなみに、これを作る際に念頭にあったのは以下の図。

          (参考図1)金子清志

安南ばか詰 5手(詰パラ 平成元年3月号)*余詰あり

33桂生、76玉、75金、同飛、88桂迄5手詰。

 玉を歩や桂に乗せて動きを弱めるのが安南のセオリーだが、本作ではわざわざ玉を飛にしておいて仕留める。まさしく逆転の発想だ。
「透明駒+安南」で何をしようかと思ったときに、ふと思い浮かんだのがこの作。リアルタイムで解いて、強く印象に残っていたからだろう。

           7(5点/5点)

キルケばか詰 3手(透明駒1+0)b) 透明駒1+1

a) X、87香生、X(=98飛)迄3手詰。
b) X、88香生、X(=98香)迄3手詰。

 a)では、初手に動いた透明駒が香により87で取られたことが明らか。従って、3手目の着手は復活した駒で王手をかけたことになり、そのような動きが可能なのは飛しかない。b)では3手目に動いたのは99香ということになる(即ち、98にある玉方透明駒を取ったのだ)。どちらもキルケ特有のfairymateになっている。
 何故かb)が盲点になったようで、1時間枠で挑戦した解答者は全員a)のみの解答だった。

           8(5点/5点)

キルケばか詰 3手(透明駒1+0)b) 持駒香→角

a) 89香、92香(+88角)、55角迄3手詰。
b) 19角、93香(+28飛)、88飛迄3手詰。

 a)で初手89香に対して92香が受けになるということは、これが透明角を取る手だったことを意味する。b)の93香も同様。キルケだと、玉方もバッテリーを組む手伝いをしてくれるという訳。
 ちなみに、同様の先行作として以下の作がある。これほど都合の良いバッテリー形成を、あの一族が見落とす筈がないもんね。ただ、最短手数で表現でき、配置も軽くなった本作には、それなりに存在価値があると思っている。

         (参考図2)神無太郎+神無次郎

キルケばか詰 5手 (詰パラ 平成6年12月号)b)91玉→81

           9(5点/5点)

ばか自殺詰 4手(透明駒0+1)b) 28馬→龍

a) 46馬、X、28馬(X=27玉)、同桂成迄4手詰。
b) 58龍、X、28龍(X=37玉)、同桂成迄4手詰。

 a)では46馬-28馬と往復すると、初形で後手玉は36にいたことが示される。b)の58龍-28龍も同様で。この場合は後手玉が47にいたことになる。馬/龍のかわいいスイッチバック。
 これも意外と誤解者が多かった。例えばa)で39馬、X、28馬、同桂成だと57に後手玉がいたかもしれないし、b)で39龍、X、28龍、同桂成だと、後手玉が59にいた可能性がある。

           10(15点)

ばか自殺詰 4手(透明駒2+1)

X、34香、X、26角迄4手詰。

 このような順序で合駒が出るには、後手玉が16にいる必要がある(例えば43角、34香、36飛、26角と指したのである)。ちなみに17歩は、後手玉が35にいる可能性を消す為の配置。左真樹氏のばか自殺詰(6手詰)を知らないと、詰め上がりの想定はかなり難しいと思う。尚、(a)27玉、46飛打、X、28飛成迄、或いは(b)X、56飛、X、38飛成迄という誤解があったが、それぞれ3手目37角/47角の可能性があり詰んでいない。

          (参考図3)左 真樹

ばか自殺詰 6手(詰パラ 昭和55年6月号)

 本作の解答は敢えて伏せておくので、未見の人は是非解いてみて欲しい。ばか自殺詰における古典的な傑作である。

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