透明駒の解き方とその手筋(2)
(2)「王手義務」の利用
詰将棋においては殆ど当然のこととして扱われている「先手の王手義務」も、透明駒を確定させることに利用できます。
(D)
X、14角合、X迄3手。
2手目の角合により、初手は透明香(又は飛・龍)による王手だったことが分かります。この透明駒が角合を取らずに再度王手をかけることはできませんから、3手目の透明駒は初手で取った駒ということになり(つまり、初手は透明駒で透明駒を取る手だったのです)、それを23に打った訳です。
ここで「先手の王手義務」が利いてきます。つまり、先手の着手はすべて王手と看做されるので、3手目に打った透明駒は桂ということになるのです。後手玉は確かにこれで詰んでいますね。
尚、同じようでもX、12飛合、Xでは詰んでいません。では、この場合はどうやって逃れるのでしょうか。各自考えてみて下さい。
(E)
X、23桂合、35飛、同馬迄4手。
相手玉が見当たりませんが、これも王手義務を利用して見つけ出すことが出来ます。2手目迄のやりとりは
①32玉(又は41玉)に対し14角(馬)
②43玉(~93玉)に対し13飛(龍)
③12玉に対し34角(馬)
のいずれかですね。更に3手目35飛も王手となることから、後手玉が32に姿を現します(王手による玉位置の確定)。これより②③の可能性は消滅し、4手目35同馬で詰んでいることが保証されるのです。
(F)
X、46角合、X迄3手。
王手義務を利用すると、「何を指したかは自分でも分からないが、詰んでいることだけは分かる」という、禅問答のような図も作れます。(D)と同様の理由で、3手目Xは初手に取った透明駒を打つ手なのですが、その駒種は特定できません。しかしそれでも、3手目で詰んでいることは証明できます。何故なら、2手目の局面で持駒が何であれ、それを打って王手をかければ1手詰になっているからです!(歩は打歩詰になるので着手の合法性より除外される。また角は売り切れ)
この図では、最終手に13通りの可能性があります。これより多い図が作れるかどうか、興味のある方は是非挑戦してみて下さい。
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