リトラクター入門(4-2)
(15) W.Dittmann (feenschach 1979)
#7 Proca-Retractor (5+10)
(15)において、とどめの駒はどこにいるのだろうか?1.Kd2xBe1! e2-e1=B+ 2.Kc3-d2 e4xd3 e.p.+ 3.d2-d4 e5-e4+ 4.Kd3xPc3! b4xc3 5.c2-c4 b5-b4+ 6.Kc4xRd3!!と戻してみよう。以下、分析はこのようになる:Bc8は原型位置で取られている。そして白Pf3とg3はそれぞれ黒QとSを取っている。黒Ba6はd1又はf1で成ったものだ。従って黒Pに取られた白駒は全部で8枚で、これらの中にはa筋で取られた白Pは含まれていない。b筋の白Pもまた直進途中で取られているので、従って黒の6手目は6...c6xPb5!に決定する。後は7.Kc5-c4と戻しておいて1.b6#とすればよい。
もし6手目において白が黒Rd3を戻さないと、白Pが直進して取られたことが証明できなくなり(a8又はc8で成ったかもしれないし、あるいは途中で黒駒を取ったかもしれない)、黒に6...c6xR(B)b5+と戻されて、詰められなくなってしまう。
(16) W.Dittmann (feenschach 1978)
#32 Proca-Retractor (9+8)
(16)は紛れもなく、今迄に発表されたProca-Retractorの中で最も素晴らしい作品の一つである。これは論理的な作品で、thematic tryは1.Ke2-e3 Bg2-f1+ 2.Kf1-e2として、このあと例えば2...Bf3-g2+ としたら3.Bb7-b8としてから1.Bxf3#というもの。しかしこれは2...Ba8-g2+!!で逃れである。もう白は手を続けられない。a8を埋める伏線が必要である!黒Pa2がa7から直進して来たものではないことに注意しておこう。(それだと白の駒取りが多過ぎることになる)ということは、これはb筋のPだったのであり、白のなくなった駒は全て黒Pによって取られていたということになる。従って、黒Bは白駒を戻すことができない。白Kはまるで波打ち際のダンサーだ。1.Kd3-e3! Bg2-f1+ 2.Ke4-d3 Bf1-g2+ 3.Ke5-e4 Bg1-h2+ 4.Kd4-e5 Bh2-g1...お分かり頂けたであろう。以下、5手目以降もKc4-d5-d6-c5-b5-c6-c7-b6-a6-b7-b8 Bg1-h2+と戻して16.Kb7xRb8!! Ra8-b8と黒Rを発生させて、また17手目からKb6-b5-c6-d6-c5-c4-d5-e5-d4-d3-e4-f4-e3と初形位置に戻れば、当初の狙い筋だった30.Ke2-e3 Bg2-f1+ 31.Kf1-e2が成立することになる。後は31...Bf3-g2+に対して32.Bb7-c8としてから1.Bxf3#とすればよい。(31...Bb7-g2+と戻した場合に白が何か1手無駄な手を入れることは、さしたるキズではない)
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