「リア充爆発」の呪いは返ってくるのでやめとけ

先日、誕生日に盛大な風邪を引いた。

39度の熱、喉は腫れ上がり唾を飲み込むのにも覚悟がいる。
痛い痛いと泣きながら薬を飲むために水を飲む。

誕生日をど真ん中に約１週間寝込み、結局その後も一ヶ月近くぶり返したり体力が戻らなかったりでフラフラしていた。

当然ステキな誕生日ディナーやケーキなど食べられる筈もなく、栄養ゼリー、プリン、アイス、うどんで乗り切った。

去年の私の誕生日には夫こと図書委員が重度の帯状疱疹で倒れ、それどころではなかった。

そして去年のクリスマス（※１）にも私は同じような高熱と激しい喉の痛みの風邪を引いた。（何故かいつもコロナもインフルエンザも陰性）
当然予約していたディナーのお店はキャンセル。

その時のリベンジのつもりで今年の誕生日にそのお店に行く予定だったが予約する前に私が大風邪を引いて断念……

そう、我々夫婦は付き合ってから一度も恋人らしい祭りを執り行わずに結婚し、新婚一年目というのにこれからもそうなりそうな気配すらあるのだ。

これは何かの呪い……？
思い当たる節が私にはあった。

かつて、私と出会う前の図書委員はひたすら川辺に体育座りをしながら
「リア充爆発シロ……」
と呪詛をつぶやく少年だった。
その儀式は青年期まで欠かさず続けられた。

その長きに渡る呪詛はもしかしたら幾つかのリア充を本当に爆発させたかもしれない。

しかし、図書委員少年は知らなかった。
強い呪詛は成功すると必ず自分にも何かしらの代償を求められることを……

「図書委員よ……いつかお前がリア充になった時、この呪いの代償を頂きに参るぞ……」
ヴァサッヴァサッヴァサッ……（去っていく悪魔の羽の音的なやつ）

たぶんその時の図書委員はこう思っていた。
「ふーんだ、ぼくがリア充になることなんか一生ないもんね！タダ働きだな、悪魔のヤツ！HAHAHA！」

まさか30年後、7歳年下の可愛くて面白くて優しくて家事も良く出来る上に教養があり（※２）進撃の巨人とハンターハンターとスラムダンクとベルセルクの全巻を嫁入り道具に持って来てくれる最高の女性と結婚するとは思いもせず、のうのうと非リア充生活を送っていたに違いない。

そして私の誕生日が二回潰れているのと、私の方がとにかく身体ダメージが大きいのは、
呪いの定石として本人に直接ダメージを与えるより本人の大切にしているものに攻撃することで、より大きいダメージを与えることが出来るというあのパターンに違いない。

「くそっ！やるんなら俺をやれ！！」
「はははは、それでは意味がないのだ。お前の大切なものを壊してやる」
「くそぉおおおおおおおお！！！！！！」
というアレである。

かくして我々夫婦のリア充度は呪いの代償により下げられるのであった。

皆さんもリア充を呪うのはやめましょう。
いつか返ってきますから。
一生自分はリア充になることはない、なんてのは本当にわからないですからね。

鬼ならぬ悪魔が笑いますよ。

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※１「去年のクリスマス」
私がとにかく毎年楽しみにしている『M-1グランプリ』の敗者復活戦＆本戦が放送された。
何としてでもリアルタイム視聴したいがために解熱鎮痛剤を放送時間に効いてくるように投与し、高熱と喉の激痛を押してテレビに喰らいつくように視聴した。
その必死の形相を横で眺めていた図書委員は後に
「あんなに真剣な顔のあなたを初めて見た」
と語る。

今も語り継がれるクリスマスイブの私。目は血走っていた。

※２「教養がある」
我々夫婦間では最高の誉め言葉として使われている。
主に夫の場合は空也上人の成し遂げた偉業について勝手に語り始めた時、般若心経や山月記の冒頭部部分を諳んじた時などに妻により使われ、
妻の場合は『いかすバンド天国』に出演していたアーティストなどに異常に詳しかったり、突然自身が生まれる前に流行った昭和歌謡などを一言一句違わず歌い始めた時などに夫により使われる。