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銃撃RunでBoo ー最終話ー

午後8時。辺りはすっかり暗くなっていた。虫型ジェット機は暗闇に同化し、エンジン音もごくごく僅かに絞られた。円達の現在地はブラック・ビルの第8通りからほんの数キロのところであったが、そこには大自然が広がっていた。

2人はまず円が敵に襲撃された橋付近、虫機が止まっていた川の下を訪れた。

「ここに虫機が置いてあったんだ。それでオレはその光景を橋の上から見て、背後から襲撃されたってわけだ。」

「そうなんですね。にしてもこの界隈は暗いな。このゴーグル・ライトがなかったらこの時間帯の我々の襲撃は成り立ちませんでしたよね。相手からライトは見えないわけだからゴーグル・ライトさまさまですよ。」

「まぁな。完璧に俺たちの生命線だ。……タイヤの跡、焚き火の感じからして敵がここを去ってから1時間は経ってるな。もしかすると俺が襲撃されたのが約2時間前だからその時に場所を変えた可能性も高い。」

「となるとまぁ引き続き隈なく探すってことですかね。まぁそう遠くは行ってないでしょう。」


2人は虫機を低速低空で走らせ、入念に敵を探し回った。森の闇は威力を増していった。


「……!」


円は螺旋の肩を叩いた。


150メートル先の林の奥には2人の敵兵。螺旋は顔を歪め、次の瞬間えも言われぬ高揚感がみなぎった。


「奴らは歩きときた。千載一遇のチャンスだ。螺旋、いいか。作戦通り俺が最前線で奴らを尾行する。お前は俺の100メートル後ろを保て。奴らが離れた瞬間に俺が手を上げる。そしたら、俺を拾え。そして虫機で猛追して一人ずつ撃つ。奴らが離れるまでどこまででも追う。いいな?」


「Yes, sir. With pleasure.」

「Thank you, junior.」


円は敵兵2人の背後20メートルにまで接近した。ここにきて円の集中力はあざやかに行き渡った。円の精神は肉体から飛び出さんばかりに高揚していた。彼は森一帯の空間と一つになった。


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5話分入ってます。全体で約4or5000字になるかと思います。1話目は全て無料で見れます。

プリーズ・リリース・ミー!