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Vol.38 メルマガ教育新宝島の学び

2024/09/03

Vol.38 教育新宝島の学び

教師はそれを知っていると、伝えてあげなくてはならない。

毎週、金曜日配信のメルマガ『谷和樹の教育新宝島vol.38』で、強く心に残った言葉があります。


教師はそれを知っていると、伝えてあげなくてはならない。


1984年に向山洋一先生が1年生を担任した時に書かれた学年通信の言葉です。

「給食の配膳台が汚れ」についてのエピソードが書かれています。

給食当番の半分の子が、配膳台の仕事に向かった中、

一人だけ面倒な配膳台の仕事ではなく

「やりやすい仕事」に向かった女の子がいました。

その子へ向山先生が、どんな対応をしたのか。

有料のメルマガの中心的な内容なので詳細は伏せますが、

向山先生は「このさりげない動きを見逃してはいけない」と直観したのだと

谷先生は解説します。

そして、冒頭の言葉につながります。

「教師はそれを知っていると、伝えてあげなくてはならない。」

叱るのではなく、「伝える」という部分です。

そういうことを考えて、教室で過ごしていたかなと自分を振り返ってみます。

向山先生は、給食の片付けの他にも子供たちが活動している

1年生の教室の中で、ささやかな女の子を動きを「見取り」ます。

そのことが、まず難しいです。

そして、見取った瞬間に、その子への教育的な大切な場面だと判断し、

叱るのでも、注意するのでもなく、

「知っていると、伝える」という方針で対応するのです。

子供のさりげない動きを、見取る技術と

その状況に教師がどう動くのかという、介入の技術。

教師の「見取り」と「介入」の技術の大切さは、教育新宝島の別な号で、谷先生がわかりやすく解説してくださっています。

そんな技術を身につけたい、また来週から頑張ろうと改めて、心に決めていました。


月曜日のことです。

朝、いつものように車で出勤します。

通学路に沿って、車を運転します。

学校に近づくと、登校中の子供たちが見えます。

私は前を見て、安全運転していますから、「見える」と言っても、目の端に微かに映るような感じです。

友達と楽しそうに話しながら歩く高学年。

元気に走りながら登校する低学年。

いろんな学年の子供たちが歩いているのが見えます。

「今日もみんな元気そうだなあ」

私は車でゆっくり進みながらも、子供たちを追い越して、学校へ向かいます。

その中に、ふっと自分のクラスの子が「見え」ました。

目の端に、1秒程度、映ったような感じです。

「あ、◯◯さんだ」

いつもの元気な様子ではなく、何か歩き方が暗い感じがしました。

どうしてそう思ったかというと、下を向いて歩いていたのです。

「どうしたのかな?」

そう思いながらも、私は車を進めて、学校に到着しました。

車を降りて、教室で会ったら聞いてみようかと思いました。

しかし、メルマガの言葉が思い出されました。


教師はそれを知っていると、伝えてあげなくてはならない。


すぐに伝えてあげたい。

進みかけた教職員玄関に入らず、

校門の前に向かいました。

◯◯さんを待ちました。

しばらくして登校してきます。

やっぱり、元気がなさそうです。

見間違いではなかったのです。

私は、しゃがんで、目線の高さをそろえて

「おはよう!◯◯さん!今日は元気かな?」と声をかけました。

「よくきたね!車からちらっと見えて、いつもと違ったから、ここで待ってたよ」

私が「知っていた」ことを伝えました。

◯◯さんは、まだうつむいていました。

この場には書きませんが、この後、◯◯さんが元気のなかった理由がわかりました。

一緒に学校に入り、教室へ向かいました。

そして、1日の学校生活の中で、明るく解決することができました。

解決の後は、笑顔で授業を受けて、楽しく友達と遊び、明るい表情で下校して行きました。

授業の中で、たくさん褒めることができました。

笑顔で帰っていく姿を見て、メルマガの言葉を読んでいて、本当に良かったと感謝しました。

読んでいたから、教室で待たず、校門で待つ選択ができたのです。

そして、もっと教師としての「見取りの技術」と「介入の技術」を学びたいと強く思いました。


新宝島のメルマガも学びの宝です。
でも、同時に「現場での宝」を見つけるヒントが、谷先生のメルマガにはあると実感しています。

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