退院の朝
朝、先生の診察。エコーを見ると、赤ちゃんが雪だるまのような形をしてる。首の両側辺りに、手が映ってる。こっち見てるんだ。かわいいな。
でもその赤ちゃんそばには、赤ちゃんを飲み込むくらいの大きなどす暗い暗闇。絨毛膜下血腫といって、絨毛膜と子宮内膜の間にできた血の塊です。
これまでの経過はぜひマガジンをご覧ください。
入院して血腫の様子をみてもらっていましたが、大きな出血もなく、赤ちゃんも成長してきたことから、自宅安静で経過をみていくことになりました。
入院は10日に及びました。
自宅でお留守番をしてくれていた主人と長男に感謝して、帰れることを喜びながらも、それ以上に不安でした。
病院のように、寝てても食事が運ばれるわけではないし、洗濯してもらえるわけでもない。ご飯も作らなくてはいけないし、掃除も洗濯もしなくちゃいけない。長男はまだ3歳。幼稚園の送迎は主人や義父母に頼めても、甘えてくるのを拒み続けることもできない。
結局動いちゃうんじゃないかな。。。
先生は多少家事をしても大丈夫と言っていました。たまに息子を抱っこしてあげてもいいし、おひざに抱きかかえてあげてもいいと。
そう思いながらも気になってネットサーフィン。検索して目に付くのは心配なことばかりです。あれこれ悪いことを想像して、どんどん気持ちの収集がつかなくなって不安が増しました。ようやく退院なのに、気持ちは重く落ち込んでいました。主人と長男は、私の帰りを待っててくれるのに、私が無理しなくていいように助けてくれるだろうに、自分の性格上、素直にそれに甘えられる気がしませんでした。
がんばれるならがんばらなきゃ。
限界までがんばらなきゃ。
そういうふうに思ってしまいます。
お腹の中には大切な命があって、今の私はひとりじゃないってことは分かりすぎるくらい分かってたけど、生活しながら安静にするという、そのバランスがとても難しく思えました。
そりゃそうですよね。自宅安静の時の、安静と生活のバランス。今の私にもどうしたらよかったのか分かりません。ずっと寝たきりでいたら、赤ちゃんが元気に生まれてくるという確証もない。
でも最低限できることは、できるだけ安静にしていること。できるだけっていうのは、先生が言われた通り、私の場合は、長男を抱っこしてあげることもあるし、ご飯を作ったり掃除をしたり洗濯したり、そういうことをしてもいいということだったんだと思います。
それは安静を言い渡された妊婦さん、それぞれが置かれてる状況で違ってて、第一子のご家庭だったら、当然他の兄弟の世話をする必要はないのだし、家族の協力が得られえる家庭であれば、掃除や食事の支度はしなくてもいいという方もいらっしゃると思います。それぞれが無理なく、可能な範囲で気を付ければいいのだと思います。
似たような「ワタシ」に出会うためにネットサーフィンをした挙句、疲れ果てた私は、
やめよう、先生の言われることを信じて、自分が置かれてる状況だけ考えて過ごそう
と、ようやくケータイをカバンにしまったのでした。
もうすぐダンナが迎えにくる。
「一緒に帰ろ。がんばろうね」
心の中でつぶやきました。
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