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夫のひとことは優しかった

産後、初めて娘に会ったのは、出産した翌日の夕方でした。両手にすっぽりおさまるくらい小さい娘。

生きてることへのあふれでる感謝とともに、「ごめんね」という気持ちでいっぱいでした。

NICUに会いに行くと、自分が何か悪い物を持って行ってしまうのではないかと心配で、会える喜びよりも不安がたつ。

つらかった。

今生きてくれてるけど、これからどんなことが起きるんだろう。

こわかった。

ふと気を抜くと、涙があふれでました。

 MFのスタッフの方は、私のことを気遣って、明るい声で優しい言葉をかけてくれました。

「25週までお腹に置いてくれて、じゅうぶんです!よく頑張られましたね。」

「出産に至った経過を、一緒に振り返ってみませんか。」

スタッフの皆さんの期待に応えたいような気持ちで、声をかけられると元気を出して返答していました。(この時私は、妊娠時から変わらず、MFICUの個室に入っていました。)

気丈に振舞っていることを見透かしたように、一人の若いスタッフの方が声をかけてこられました。

「お元気そうですけど、大丈夫ですか。」

その言葉に堰を切ったように涙がこぼれました。

大丈夫なわけない。不安でつらくてたまらない。我慢してるだけです。

そんな思いがどっと胸に広がりました。


産後、お祝い膳が出されました。

でもお赤飯が涙でにじんで、とても食べられる心境じゃなかった。

私なんかが食べていいんだろうか。お祝いしてもらうような状況じゃない。

夫に素直な気持ちをラインしました。

その時の返事、今も思い出すことができます。たった一言で返ってきました。

「産んでくれて、感謝感激胸いっぱい」

嬉しかったです。夫は同じ立場で、きっと同じように不安も心配もあるけど、心から出産を喜んでくれてる。そして複雑な感情でいる私のことを理解し、励まそうとしてくれてる。夫の優しい言葉から愛と強さが感じられて、私のなかにもある、産まれて来てくれて嬉しい気持ちを、大事にしていいんだと思えるようになりました。

これから何が起きるか分からないけど、強くて優しい母になろうと思いました。


出産までの記録はこちらにつづっています。


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