デッサンのコピー

詩 161〜165

  デッサン

とりとめのない虚脱感
鎧戸 のぞく 夕闇に
目がくらみ 血に 飢え しびれ
つもり つもって 無我夢中

思い上がった生返事
うずまく 黒煙 白煙 が
長々 のびる もう 歓喜
さわぐ 心が 気に入らず

力まかせに 折り やぶる
花鳥風月 また 不平
印象だけは正常でした

考えている その ゆくえ
槍で つついて 穴をあけ
詰めこむものは 亡霊くらい




  アップルパイ

そうそう そのまま あと三歩
そこがわたしの死んだ場所
なぐさめないで 泣かないで
心をこめて 聞き流し

口先だけのお祈りで
じゃまなことばをそうじして
恐竜みたいな不安でも
シャワーを浴びればからっぽだ

階段 見のがし 遠まわり
大好きな人 いやな人
毛布を引きずりだす めんどうだ

手あたりしだいに 名前 つけ
わたしのものにしたのです
それでもよければ どうぞ 勝手に




  求愛行動

裏づけはない 備忘録
どんなに どんなに つきはなし
わたし 迷わせ 置き去りでも
扉も 表紙も 指一本

さわらせはしない 境界線
フライミートゥーザフルムーン
失うことなど 墜落で
たった一度の失神で

あふれはしない ただ たまる
たまれば よどむ 冬 凍る
多少の膨張 気づいてもらえる

叶えるものは 夢だけか
それとも予感か 分からない
百年 のぞんだ おだやかな呼吸




  キリン

なかったことにしたいけど
別の入口 反比例
現実はとても手のこんだ
でたらめだから 都合よく

指紋 二人ぶん ちゃんとある
断面 のぞく かなしみに
四次元 織りこむ 安全ピン
顔は笑って 元気なく

どんな角度で 首 かしげ
負けおしみ 書きつづっても
あいも変わらず 口調は キリン

遊んでほしい もう一度
こんがらがった 地上絵は
消化不良の あの日の あなた




  博愛主義

髪の毛 数える 一 二本
そんな数字をかかげても
誰が気にしてくれるのか
「わたしも知らない」 だと 思う

ひたいに植える 薔薇の花
青白い目の百合の花
空飛ぶ夢を否定され
きれいだけれど重すぎる

小声でわたしが歌うのを
あなたは すわって聞いている
「それでいいから」と いつでも ほほえみ

花占いは はずれない
好き きらい 好き きらい 好き
自由をうしなうことに おびえず

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