シルバーホワイトのコピー

詩 191〜195

  シルバーホワイト

意外なところで光るから
さめた両目が必要で
たしかに見れば 滑走路
雨のしずくをたたきつけ

ちらばり かたまる 生命を
拾いあつめて 完璧な
立体 できたら 雪のよう
あなたの顔にたたきつけ

理想と真実 あらそわせ
負けたら ただちに廃棄して
誰かがよろこぶ わたしもうれしい

やがて裏切り すみきった
音を探して 迷いこむ
そこは夕立 どうせみにくい




  エーテル

それではいっしょに数えましょう
おなかの上にほくろ ない
肩のうしろに みっつ ある
川に浮かんだ花いかだ

わたしはさらわれ あきらめて
水と子供の見張りして
思い出 ながめるひまもない
砂漠のおきて 守るなら

壺にひそんで さあ 逃げて
パイプにつまって 本を読む
壁がたくさんある街に行け

一番高いところから
ひとつのわたし 呼びとめる
あなたは鼻にコガネムシ のせ




  寒色暖色

さまよう貝の足跡に
ささやかすぎる抗議では
なんの解決にもならず
わかちあえるもの その差別

今日からわたしは換気扇
どんな原理でとかされて
気がつけば身も心も 歯
ドライアイスにしみるとき

わたしはあなたをひとりじめ
わたしなりにはがんばって
わたしの王国 繁栄させて

プレパラートの盾 かまえ
スポイト にぎった下級生
空想だけで 神さま 泣かせた




  静物

どこで飛んでも場ちがいで
不安にかられ 水色の
うつくしい日に 宮殿は
悪魔がねらう おしまいだ

船酔い つづく 永遠に
神聖だという保証 なく
あたらしい線 引きおわり
標本にしたハリネズミ

紙風船の密売で
なんとか 消息 つかめたら
あとはゆっくり あなたを思う

ちいさな夢を聞いてから
深く鏡に埋めこまれ
エスカレーター のぼって おりて




  ある晴れた日に

あなたの慈悲をあてにして
ソファに寝そべり 考えた
サイフォン ことこと つぶやいて
首をかしげる おだやかに

自分でなんとかしなさい と
言われたことが気にかかる
勝手に煙は立ちのぼる
たのもしいけど かんちがい

雨戸のすきま 光 さし
絵の具も粘土も このために
銀とむらさきの地球のために

むかし むかしの物語
やっぱりあなたはわがままだ
暗い力を求めて ねだって

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