ハウリングのコピー

詩 171〜175

  ハウリング

「どんなハウリング」 こんな歌
炭酸 溶けない 希望 夢
必然的に 毛穴 あき
クリーム 塗りたい そんな朝

納得できない 残滓 こそ
共同幻想 「それはなに」
ブレーキランプの銀河系
同心円の獏の群

いつものあいさつ うつろな目
実はトレモロ たよりない
ホワイトノイズの平和などない

苦しまぎれの握手には
視線 集中して 貧血
かさねる 広がる ひとみに夕焼け




  音楽準備室

シンバルだらけの屋上で
収穫するのは蛍光灯
物音 とだえ 灰色の
バケツ 手に入れ みぞれ 降る

包帯 まいて 緊張し
知ったかぶりで また 頭痛
トライアングル プログラム
はちきれそうなコンセント

そわそわしながら みんな いる
つめたい午後のガラスごし
日射し 照りつけ 網膜 ねらう

赤いランプの下 手と手
ほったらかしのオーケストラ
センチメンタル なんて単調




  ソプラノ

色濃く かたく くっきりと
はっきりとした かたちをなし
だけど ためらう 目の前で
顔 あげ 踊る その瞬間

手ぶくろ 投げ捨て 狂おしく
優雅な描写 鬨の声
ひとつひとつを分析し
説明するのは荷が重い

ただ ただ 繊細 冒頭で
浅瀬におぼれた あなたでも
とおいむかしの神さまに似て

ためらいがちの宣告は
わたしを殺す この摂理
のがれるすべは 一生 うつぶせ




  石

あなたの告白 利用して
ただしい無慈悲 引きだした
気が弱いから あとまわし
消滅しそうだから こわい

もっと孤独をとぎすまし
憂鬱 抱いて 飛びこめば
おろかものとは言われない
一面 まっ白 大理石

不愉快なこと ゆるせない
幸福 見捨てる 代償に
わたしの心は ゆるぎない 石

反感 買うのは分かってる
あくまでわたしの責任で
卑怯な言いわけ 蔓延させた




  発芽

足を踏むのは足だけで
接着するなら杭を打ち
こめかみあたりで枝をはる
鳩のつがいが住むだろう

落ちた羽根から葉を出して
右手 果実で 左手 花
やがて 握手で また発芽
地上千キロ 座りなさい

少し視線をずらしたら
こちらも深い 洗礼名
冬眠しながら沈んでいける

見覚えあった 人の家
人 立つ 世界 帰りたい
八つ裂きにして 帰りたくない

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