ループアンドスピンのコピー

詩 181〜185

  ループアンドスピン

不安なままで流れましょう
ここは飛ぶにはやわらかく
泳ぐとしてもどろどろで
ベッドだったら痛すぎて

だからね 空気 大事なの
ぎらぎら ことばをふりしぼり
くるしいふりして顔 しかめ
これじゃなんだか微熱だよ

自由にまぶたをとりかえて
それでいいなら あなた 誰
そんなループは かなしくないの

放置されそう 走馬灯
だって だから と もう 倍速
最後の手段は高気圧処理




  人形

あまりに冷酷 夏草が
眉の谷間に茂り 雨
汗にぬれても へっちゃらで
もはやオレンジ 凍る 部屋

ぼた ぼた 落ちる 枝のまま
わたしのほくろをめがけ ただ
おむかえ 来るまで つきあって
かつての美貌を侮辱する

遊んでほしい の ひとかけら
童話の女王 腕 つねり
うんざりしないでもう少し 待て

やせこけ 力なく笑う
今日の処刑の一人目で
奪いつくした日陰の仮眠




  契約

ひとり歩きはあぶなくて
縁石 うっかり踏みはずし
それから ずっと このざまだ
一生 聞きたいもの 聞けず

あわいなかでも まだ あわい
しろがね こがね ほとばしる
やり場がないから また よどむ
むごたらしくも滑稽で

すらすら あがって 見くだして
あなたはどんなに愉快でしょう
さようならさえ 恩寵 啓示

なんだかおかしい でも なにが
いつからこんな関係で
蝶々むすびでしめ殺された




  真昼のトンネル

のぞまれたなら必要で
ちょっとにごれば その逆で
引き返すならいまのうち
モザイクだらけの並木道

潔癖症を放置して
もつれた舌の舌うちは
ガスバーナーの青い火に
できればいいけど むずかしい

解決するのは むずかしい
破局を待つより 少しくらい
したがう 見ないで 鳴くにまかせて

どうか明日もお大事に
ランドセルさえ重いから
モデルになれない そんなはずはない




  憧憬断章

実在しない色の赤
耳の先端 染められて
貴重な息をととのえた
三つ数えて 日傘 さす

毛深いことまで隠せれば
あなたの一瞥 はねかえし
うすい氷がはっている
鋭角のなにか 処理できる

すること ないから 踏み鳴らす
足もと つむじに反響し
あらためて見た この身長差

しぼんで まだまだ 芳醇で
素直なことを自慢した
展望 良好 ふたりの摂理

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