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ナボコフ 詩抄 (37) Translated by Toshiya Kawamitsu

  どんなにあなたを


みどりの 灰の 溝となる
雨に 菩提樹 かぐわしく
もう 待ちきれない さあ 行こう
雨は ざわざわ 道の上
花は 満開 くちづけを
べとつく土に 何度でも
急いで 遅れる前に さあ
早く 帰ろう 気づかれず
あなたは ケープに 身をつつみ
わたしの心 くるおしく
めぐる 年々 落ち着けて
木々のざわめき 柵のうち
鳥のさえずり 檻のなか
なんて 目ざわり 耳ざわり
おはなし しずか むずかしい
わたしの生を つらぬいて
じゃまをしないか 心配で
まっ赤に 頬 染め 奴隷たち
ラッカー塗りの 青い空
はちきれそうに 雲は 行く
かすかに ふるえて 空 わたる
どこかに 居場所はないのかと
秘密のしるしは その つばさ
くらい片隅 むすびつき
(苔むす幹に シャクトリガ
 けっして つばさを ひろげない)
すきまを ぬけて 光 さす
夕日よ 夕日 もう一度
暑さは つづく しずけさと
ブヨの予報は はずれない
ゆうべの光に つりあげて
ゆらゆら ゆれる たえまなく
行商人の手のおもちゃ
どんなにあなたを 愛しても
ときには ゆうべの 空気のなか
半透明の 通気口
なんて すてきな この織り目
世界の手ざわり 木の幹の
すきまを ぬけて 光 さす
どんなにあなたを 愛しても
燃える 木の幹 しばりつけ
なにも 語るな 木の幹の
すきまを ぬけて 光 さす
花咲く枝の 下にいて
じっとしていて 深呼吸
ひろげ ひろがり 流れゆき
目を近づけて 背を低く
永遠 通じる 道を 行け

How I Love You
Translated by Toshiya Kawamitsu

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