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2020年5月の記事一覧

詩 347

詩 347

  消失点の森

果樹園 ただよう 金魚なら
遠のく あかり さかあがり
誰の心も分からずに
燃えあがる 眉 クローバー

開花宣言 たえまなく
無視も 誤解も 気にしない
校庭 生まれた ひとみ 秋
積みかさねるから 今日は 行き

路上 蜂蜜 そそがれて
やさしいだけの 花ことば
通りすぎても 頭上 太陽

漂白された嫌悪感
息もつけない沈黙 に
ひとつ目フクロウ からから ふりむく

詩 346

詩 346

  こもれびスカート

ボタン 拾えば 坂の上
誰か いないか ふりかえり
雲をうつした トンボの目
待つことばかり もう いやだ

スカートばかり 傘ばかり
午後の退屈 かきわけて
あじさい迷路 フレスコ画
ここが入口 炎天下

甘美な うそに 支配され
トルソー 憂鬱 愛の歌
凍りつくまで 結晶するまで

つつじ 舌さえ 疎外され
どこも かしこも 本ばかり
ささえきれない 光のかけら

詩 345

詩 345

  オオミズアオ復活

待ちわびる 誰 雲の上
想いあがりの肖像画
ポケットのなか 窓 われる
葉は エメラルド 羊歯の森

ライ麦畑で 落とす 餌
かわき つかれて また おぼれ
面影 うつす ひとつ目に
逃げることさえできなくて

待ちわびる 誰 地平線
わたしは静物 こだま 編む
背中 ひらけば 抱擁の朝

空は ちいさく ただ こわい
なんて きよらか 水たまり
気象衛星 ほほえみ そそぐ