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2020年1月の記事一覧

詩 336

詩 336

  バプテスマ

光 やわらかく 風 おだやか
水深 不明 とどかない
視力は まるで 臙脂蜘蛛
砂糖でできた 爪を切り

炭に 埋もれた 子供たち
望遠鏡を ひきずって
凱歌 たからか 細い道
火が消えたよう 嫌悪感

悪意のこだま 顔に受け
空砲 とどろく 午後三時
存在 なくした コインランドリー

最後の瞬間 見失う
水盆 落として 割れたなら
事実も 理想も ふさわしくない

詩 335

詩 335

  アポクリファ

絹と毛糸ではないけれど
身をのりだして また すわり
ベッドのシーツで つづれ織り
光彩 ばらばら 水鉄砲

足もとから 風 アンブレラ
弱く みにくく 臆病で
軒下 追いつく レンズ売り
別離のエコーは 永遠に

熱をはかった ひたいの 手
冴えた息吹に ひざまずく
木馬 気高く さみしい こぼれる

声や体ではないけれど
かぎりなく 空 波を蹴り
なにを残した よく晴れた日

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詩 334

詩 334

  荒地の創生

薄明 トンボは 輪をえがく
むしばむ 草の香 声 うつろ
発酵中の混沌に
首までつかって 目をとじる

煙 うずまく そのむこう
ミモザは気まぐれ 雨のなか
姿を変えて 眠るはず
だけど 吐息は 胸を裂く

すべての断面 共鳴し
パンはつぶれる いすの下
旗は三角 はがねの行進

靴と楽器と雲の子と
あなたの肖像まで 落ちて
誰もがねがった 勝利のあとで