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『家元教育がはじまる』vol. 1

指名を受けることになるとすぐに、
目まぐるしいお稽古の日々が、始まりました。

正直、もう本当に右も左も分からぬまま、
三代目の指示に従い、日舞、三味線、鳴り物、常磐津等のお稽古をして、

力不足にも関わらず、多くの舞台に立たせていただき、
分からぬままに必死に走り続けました。

当時、バランスを保つためなのか、
流儀に関する文献を片端から探して読んでいた記憶があります。

東京會舘で、三代目から「本を読み、研鑽を積むことを大切にするように」という言葉をいただきました。

「家元という立場に求められるのは、踊ることだけではなく、様々なジャンル、業界の方々と交流すること。踊ることだけでなく、本を読み、研鑽を積むことを大切にするように」というお話でした。

そして、「大学、社会人時代を過ごしたことが大きな力になる」と、
たおやかな笑顔でおっしゃっていただいたことを、大切にしてきました。

三代目は、努力を惜しまず、邁進し続けること、小手先ではなく、
長期のスパンで成長していくことを、大事にしていらっしゃいました。

ひとつひとつの表情が、その声が、
私を導いてくださっていることに、感謝したいです。

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