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『花柳貴彦と、なる』vol.1

名取になるということは、私にとって、当たり前のことでした。
特に何も考えることなく、名取資格を得られる歳になり、試験を受け、名取になりました。

お名前をいただくにあたり、祖父が壽楽を名乗らせて頂く前の名前が錦之輔だったということもあり、錦の字を使った名前の案もありましたが、遠山の金さんみたいで嫌だと言った記憶があります。そうして、本名の貴彦を使わせていただくことになったのです。

名取後の名披露目では、父と連獅子を踊り、間の胡蝶を母と姉が演じ、家族四人で舞台に立ちました。今でも貴重な、大切な思い出です。

当時、日本舞踊自体を好きか嫌いかと考えたことはなく、続けているのだから好きなんだろうと思っていました。ただ、舞台に立つのはそんなに好きではなく、お稽古を通じて、何かしら成長していくことが好きでした。

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