邦楽『嘘みたいな I Love You』(宇多田ヒカル) 暴力的なまでのエモーショナル

彼女の凄さはもはや語るまでもない。しかし、彼女の楽曲は語っても語り尽くせない。

宇多田ヒカル。彼女の作品はいつも魅力に溢れている。

「そのアーティストを語るときは、絶対に外せない曲」というものがある。僕にとって、彼女を語る時に外せない曲が『嘘みたいな I Love You』だ。

シングル曲でもないし、タイアップなどもない(はず)。だけど、すごく印象深く、もう何年も聴いている。なんでこんなに心に突き刺さるのだろう。「好き」の理由を考えてみることは楽しい。

まずは歌詞だ。僕は曲を聴くとき、歌詞はあまり重視しない。音に合っていればとても気持ち良いな、と思うくらい。

この曲は、音に合っているし、かつ意味深。色々想像できてしまう。若さがほとばしる、不器用な恋愛の駆け引き。そんな感じがする。

あと、なんといってもメロディだ。有無を言わさずグイグイ引っ張られるようなサビのメロディは、もはや暴力的と言えるほどの魅力がある。この曲にずっと包まれていたいと思ってしまう。

そして、やはりアルバムの中のポジションが良い。この後に、大名曲『FINAL DISTANCE』が控えている。この並びは、比喩でも誇張でもなく泣ける。素晴らしい感動を与えてくれることに感謝したい。

いつの間にか、当時の彼女の年齢を超えてしまった。だけどこの曲を(このアルバムを)聴くとき、僕は時間を超えてあの頃のことを思い出す。

素敵な音楽はあらゆるものを忘れさせてくれたり、思い出させてくれる。でも音楽は単なるきっかけなのかもしれないと、時々思う。音楽はそれ以上でもそれ以下でもないのだから。

とにかく、彼女の音楽は「音楽を楽しむ」と言うごく当たり前のことをいつでも思い出させてくれる大切な存在だ。

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