ロシア語文法解説NO.5 ~状態動詞と一瞬の動作を表す動詞の体~ 

こんにちは!

前回(NO.4)は、「状態動詞」と「一瞬の動作を表す動詞」の違いについて解説しました。今回はそれぞれの動詞の完了体と不完了体の区別について話していきたいと思います。

状態動詞の不完了体と完了体の別

★状態動詞の不完了体

状態動詞は、動作主のある継続的な状態や性質を表している動詞なので、不完了体の場合は理解しやすいと思います。前回の記事で言うと、спатьがこれに該当します。同じ例を改めて書くと、

(1) Я обычно сплю на кровати. (私はいつもベットで寝ています。)

(2) Вчера дочка спала всю ночь. (昨日、娘は夜中ずっと寝ていました。)

このように、状態動詞の不完了体は「継続的な動作」を表しているのが分かります。

★状態動詞の完了体

状態動詞は、そもそも継続した状態や性質を表すための動詞なのに、どうして完了体になりえるのかという疑問が沸いてくるのではないかと思います。

状態動詞でも、動作の期間が(非常に)短いことを表す場合、完了体として使われることになります。不完了体動詞のように動作の過程を示すのではなく、動作(行為)そのものに重点を置くというニュアンスをもちます。

спатьの場合、поспатьが完了体となります。「ひと眠りする」の意味で、一瞬の動作として捉えるかのようなニュアンスが感じられます。例を見てみましょう。

(3) Я хочу поспать немножко. (私はひと眠りしたい。)

спатьのケースでは、様々な接頭辞を付加することにより、意味の異なる完了体の動詞を複数個作ることができます。

*выспаться, отоспаться (ともに「十分寝る」の意)、
*проспать(寝過ごす)
がこれに該当します。

こういった例に則して言えば、上記のпоспатьも、接頭辞по(「少し」という意味を含意)をспатьに付加した完了体動詞と言えるでしょう。
これらは全て動作の過程ではなく、 動作(行為)そのものに意味の重点が置かれる動詞です。

★他の状態動詞の完了体と不完了体

状態動詞はспатьの他にも多く存在しますが、一般的な例として、стоять(立っている)が挙げられます。この動詞の完了体と不完了体をまとめると、下記のようになります。

●完了体:простоять, постоять, выстоять

 いずれも、概ね「ある一定期間立っている、立ちつくす」という意味で、спатьの完了体動詞と同様、動作の過程ではなく、動作(行為)そのものに意味の重点が置かれる完了体動詞です。 

●不完了体:стоять

「立っている」という意味を表す状態動詞の不完了体はстоятьです。

一瞬の動作を表す動詞の不完了体と完了体の別

前回の記事では、「一瞬の動作を表す動詞」の例として、主に完了体の就寝する(лечь спать)と寝入る(заснуть, уснуть)を紹介しました。今回は、不完了体について考えていこうと思います。

本来、完了体と不完了体の区別は非常に複雑です。動詞の2つの体がそれぞれどういった意味のニュアンスを持つのかについては決まった原則はなく、ケースバイケースで習得していく他はありません。上の動詞について個々に考えていきます。

●不完了体: ложиться спать(就寝する)

こちらは完了体動詞のлечь「横たわる」の部分が不完了体になります。主に、動作の繰り返しを示す不完了体として用いられます。

●不完了体: засыпать(眠りにつく)

こちらは完了体動詞заснутьの不完了体動詞です。動作の繰り返しを示す場合と、継続的な動作を示す場合があります。

(4) Наш ребёнок плохо засыпает.
(私たちの赤ちゃんは寝つきが悪い。 ※ 動作の繰り返しを示す。)

(5) В ту ночь мы долго не засыпали.
(その夜、私たちは長いこと寝付けなかった。※継続的な動作を示す。)

尚、уснутьの不完了体動詞は見つけることができませんでした。存在しないかもしれません。

いかがでしたでしょうか。次回もどうぞ宜しくお願いします!


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