とあるベンとヘンリーの話
数ある漫画の中でも特に好きなのが「BLUE GIANT」。
その中で、とあるジョージア人の話が出てくるが、あの話を読むと、「地球は愛と優しさで回していきたいものだ」とよく感じます。
先日、世界最大級のフィットネスの展示会であるFIBOの案内メールが届いており、ふとドイツを思い出しました。
FIBOは世界遺産の大聖堂があるケルンにて開催されていますが、国産のピラティスリフォーマーを創り始めたこともあり、市場調査も兼ねて世界のフィットネス展示会を見に行こうとFIBOへ。
日本で開催されているフィットネス展示会の数倍の規模かつ、日本では見掛けない器具やサービスの数々に驚愕し、来年はスタッフを連れてこようと、翌年は3名のスタッフと共に参加をしたのが2019年。
フランクフルト空港で、ブルーノ(BLUE GIANTに登場するピアニスト)が弾いていたピアノを探したことは言うまでもありません。
FIBOに参加する前に、せっかくだからといくつかの街を巡り、その中の1つがコブレンツ。
ライン川とモーゼル川が出逢う街として有名ですが、ケーブルカーで丘の上のエーレンブライトシュタイン要塞に行こうと、ケーブルカー乗り場に行ってみたら、なんと!その年のFIBOの開催がいつもより1週間早かったこともあり、まだケーブルカーの運航が開始になっておらず、急遽バスで行く事に。
もちろん、ドイツ語が分かるはずもありませんので、ネットで調べつつ、それらしきバスに乗ると、途中、左に曲がるはずの所を右に曲がるではありませんか。
確証バイアスが働いている事は分かっているものの、おそらくここからカーブして、別のルートで行くのだろうと様子を見ておりましたが、どんどんと住宅地に入っていく為、観念してバスを降りることに。
その時、バスの運転手。仮にベンとしておきましょう。
ベン(仮名)が怪訝そうな顔をしていたのは、言うまでもありません。(こんな住宅街で何の用だい?といった感じ)
エーレンブライトシュタイン要塞の閉園時間も迫っていたため、ここから直接行けるルートが無いかを探ろうとするも、先ず、ここがどこかもよくわからない。
近くにあった反対方向へのバス停を眺めていると、心優しきドイツ人の男性ヘンリー(仮名)が、霧雨が降る中、キョロキョロしている童顔のアジア人4人に、わざわざ道路を渡ってきて声を掛けてくれ、行きたい場所を身振り手振りで伝えると、「ここから乗れば街に戻れるよ」と。
御礼を言って、寒風が吹きすさぶ中、早くバスが来ないかな~と待っていると、しばらくするとバスが到着。
ホッとバスに乗り込むと、何と先ほどの運転手ベン(仮名)ではありませんか!
ミラー越しに目が合うと、(こいつらやっぱり乗るバスを間違えやがったな!)という顔をし、最初に乗ったバス停まで連れていってくれることに。
降りる時、「本当にここで大丈夫か?」と何度か心配された後、なんとバス代は要らないよと無料に。
それから約2年が経過し、コロナの関連のドイツのニュースを見ると、あの時のベンとヘンリーは大丈夫かな?元気にしているかな?と
各国を旅し、人と出逢う事で、自分ごとの範囲が拡がり、世界はより身近になっていくし、インターネットでは出逢う事が無い人との偶発的な出逢いがあると共に、地球は愛と優しさで回していきたいと強く感じる。
そんな、とあるベンとヘンリーの話。
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