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2024年8月実施 第2回東大本番レベル模試 スタッフによる所感【理系数学】

目次



全体概観:標準

様々な分野の問題がそろったバランスのいいセットでした。第3問や第5問は初手から難しく感じた人もいたかもしれませんが、それ以外の問題に関してなら方針は立てやすかったと思います。数学が苦手な人の場合、簡単な第4問を確実に完答したうえで、残りの問題で部分点を稼いで50~60点を取れると理想的だったと思います。東大数学で必要となる典型的な要素が詰まっていたので、できた人もできなかった人も復習しておくとよいでしょう。

第1問:標準

まず、曲線Cのグラフは3次関数の対称性を意識すれば一瞬で描けます。(1)は解答のように二次方程式の解を考えても、点Pを通りx軸に平行な直線と曲線Cの共有点の個数を考えてもいいでしょう。(2)も長方形の横の長さを計算するだけなのでここまでは解きたいです。(3)は微分して増減を調べて最大値を求めるだけなのですが、計算がかなり重く、最後は根号のからんだ代入計算が求められます。可能なら直接計算と次数下げの2通りで値を求めて一致することを確認すると確実です。場合によってはtの値を求めた段階で計算に時間がかかりそうだから後回しにする、といった判断も有効だったかもしれません。

第2問: やや易

(1)は典型問題なので、本番ではすぐに処理したいです。(2)がこの大問の中では一番難しいですが、n=6くらいまで実験すればp=4であることの予想がつくと思うので、あとはa_(n+4)-a_n=8×(整数)の形にしたいという目標をもって漸化式を変形すれば解答にたどりつけます。別解のような合同式の利用もできるようにしておきたいです。p=1,2,3のとき条件が成り立たないことを書き忘れないようにしましょう。(3)は(2)ができれば簡単なので、(2)までできた人は解ききりたいです。

第3問:やや難

一見どこから手を付けていいか分からなくなりそうですが、方程式の係数が実数なので虚数の解があればその共役複素数も解になることがポイントです。このことから、4点を通る直線が4点の重心である点1を通り虚軸に平行な直線だと確定します。これがわかれば(1)はすぐに解け、(2)も2乗をひとまとまりと見ればよくある存在条件の問題に帰着できます。「虚数が実数係数のn次方程式の解なら、その共役複素数も解である」ことは方程式の解に関する問題ではたびたび使われるので、この事実はすぐに思い出せるようにしたいです。1つ1つの手順は典型的ですが、2乗をひとまとまりと見る工夫も必要で手順が多いので完答は難しかったのではないでしょうか。

第4問:易

典型的な確率漸化式の問題です。(1)は絶対に落とせません。(2)は最初で場合分け、最後で場合分け、連立漸化式をつくる、のどのやり方でもp_nに関する3項間漸化式が立てられて、これを解く過程でもルートなど汚い数字が出てこないので解きやすいです。確率漸化式は東大では頻出なので、これが解けなかった人はよく復習して、先ほど述べたどのやり方でも漸化式が立てられるようにしておきましょう。

第5問:やや難

立体図形の問題でした。2次試験で初等幾何(いわゆる高校入試までのような図形)が出題されるのは珍しく、ヒントもほとんどなかったため、全く手が動かなかったという人も多いかもしれません。最大のポイントは、MをBCの中点としたとき、与えられた図形が平面ADMについて対称であることです。それに気づけば、平面ABCと平面ADM上で考えていけば(1)、(2)ともに解けます。図形問題において対称性に着目する、立体図形は平面を抜き出して考える、といったことは重要な視点なので、何もできなかったという人は復習の際にそれらの観点がどう問題を解くのに活かされているかに着目するとよいでしょう。

第6問:標準

微積分の問題です。(1)の方針はすぐに思いつくと思います。導関数や2階導関数が0となるxを求めて満足せず、必ず符号変化に着目するようにしましょう。(2)もxの範囲を求めることさえ忘れなければただ計算するだけです。文字の動きうる範囲は必ず気にするようにしましょう。(2)の軌跡の式をグラフに書くと、(3)のK_aの通過範囲は想像がつくと思います。通過範囲の論証は難しいかもしれませんが、少なくとも根拠のない断定は採点者の印象を悪くするので避けたいです。K_aが右下がりの曲線になることがあれば通過領域もはみ出るかもしれないな、といったように想像を働かせ、実際はそうなっていないことを説明できるとよいですね。最後の積分計算は少々面倒ですが、近年の東大の計算問題の複雑さを考えるとこの程度は正確に計算できるようになっておきたいです。積分の計算はチェックしづらいですが、求めた値が大体どれくらいかを見積もって、負の値になったり考える領域を三角形で近似したときの面積と明らかに違ったりするようなら計算ミスを疑いましょう。


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