💘とことんユーミン💘 ALARM à la mode

今夜はお待ちかねのアルバム【ALARM à la mode】
1986年リリースの18枚目のアルバムです。

松任谷正隆、由実夫妻の結婚10周年にあたる
11月29日に発売された記念すべきアルバム。

私は1986年、この夏、次男を出産しました。
二つ違いの男の子を抱えて、
家業の手伝いをしていたので、
このからの数年ほとんど記憶がないのです。
それでも記憶を辿っていくと、
この年の最も大きな事件は
チェルノブイリ原子力発電所の原発事故でした。

そして、記憶にあるのはチャールズ皇太子夫妻の来日でした。
美しく魅力的なダイアナ妃にみんな夢中になりました。


　【ALARM à la mode】
このタイトルはユーミンが英和辞書で見ている時に
「ALARM」と「à la mode 」が並んで載っていて、
二つをつなげたらいい感じになった
ということでつけられたそうです。

当初案ではオードリー・ヘップバーン主演の映画
「シャレード」もタイトル候補に上がっていたそうですが、
ジャケットの「追いかけられるユーミン、って面白いかな、」
とのコンセプトを基にして、
牢屋をイメージしたモンドリアン風には
シャレード（charade ）も
あっていたかもしれないと思います。

💔Holiday in Acapulco

最初の一曲　Holiday in Acapulco 
冒頭からジェット機に乗っているような気分にさせられます。
メキシコの名だたるリゾート地で有名なアカプルコ。

幸せなカップルで旅行にいくというのではなくて、
この歌の主人公は失恋直後の女性。

白いヴェランダ、白い噴水、青いダリア、
テキーラ、マリアッチ、ソンブレロといった
明るいメキシコの鮮やかさが目に浮かびますよね。
そんな素敵な場所へいくツアーにポツンと心の傷を持って
彼女はなんとなくチグハグな感じがしませんか？
ところが、これがバブルに突入する時代には、
普通にあり得ることでした。
そして、アカプルコにはいけなくとも、
この曲を聴いてアカプルコに「行った気分」にもなれたのですね。

ああ、メキシコ！行ってみたかったです。

💚ジェラシーと云う名の悪魔

「真夜中のビデオ 追いつめられて叫ぶヒロイン
灯り消した部屋でひざを抱える私も同じ」

この曲はもしかして
「シャレード」が頭にあったのかなあと思う一曲です。
地味な感じですが、ユーミンが切々と歌っていて、
しかも綺麗にはハモっているなあと感じます。
歌も良いですよね。

💔パジャマにレインコート

パジャマにレインコートは
雨特集でも取り上げましたね。
21枚目のシングル「メトロポリスの片隅で」のB面です。

最初は燃え上がった恋もひと段落。
長電話もしなくなった二人。
きっとほかに好きな人ができたのか。
こうなるともしかして
このまま終わってしまうのかなと思う。
でもまだ好きだから、
心変わりをした真実も知りたくない。
夢の中で泣いていたきみ、
はっと起きて気づいた時には、
姿がないきみを探して、
慌ててパジャマにレインコートを引っ掛けて、
雨上がりのまちに探しにいく。

うううん。

なんかサスペンスっぽく聴こえてきますね。

💙白い服、白い靴

「白い服、白い靴」も雨特集でご紹介しましたね。
これは元カレソングでしょう。

地下鉄の中で偶然元カレにあってしまいます。
思った以上に素敵になっている元カレと
デートの約束しちゃうわけですね。
お付き合いしているカレがいるのに、
何を着ていこうかなあと
ウキウキしてしていたのに
当日は雨降り。
準備していた白い服、白い靴、汚したくないから、
という理由にしてドタキャンします。

さあて、現実はどうかしら。
元カレとあって「やけぼっくりに火がついた」
という経験がある方もいらっしゃるかしら。
その後、うまくいきましたか〜？
うまくいかないことが多いですね。

ここでクイズです。

「土曜日は大嫌い」は1986年から1987年にかけて放映されたフジテレビ系番組のエンディングテーマでした。この番組のタイトルをお答えください。

「オレたちひょうきん族でした」

❤️土曜日は大キライ

「土曜日は大キライ」について酒井順子さんは
「ユーミンの罪」でこのように書いています。

「オレたちひょうきん族」はドリフの「8時だよ！全員集合」の人気を奪うようにして登場したお笑い番組で、フジテレビの軽チャー路線の旗印と言っていい存在でした。
荒井由実に歌であったら、ひょうきん族のテーマソングとしてマッチしなかったわけですが、松任谷由実の歌が持つ軽みは、80年代のフジテレビの軽みと非常に相性が良かったのです。ひょうきん族を土曜の夜に見ている人達は、
「あっ　そこの店はダメ　今日あたり　前の彼が来るわ」とか
「踊るライト　土曜日は大キライ　次の恋を予感させるから」
といった「土曜日は大キライ」のきらびやかな歌詞の世界とは違って、
土曜日の夜にテレビを見ているわけです。が、この歌を聞くことによって、私達は
「土曜の夜にはひょうきん族を見る」という行為が、とてもキラキラしたものに感じられました。

テリブル2の二歳児と乳飲み子を抱えた私は　
舞台となる六本木なんて頭の片隅にもなく、
テレビでひょうきん族を見る余裕もなかったのです。

💕ホライズンを追いかけて〜L'aventure au desert

「ホライズンを追いかけて」
このアルバムで一番好きな歌です。
これはパリダカールラリーをモチーフにした曲の一つです。


L'aventure とはフランス語で「孤独への戦い 」となると思います。

desertには孤独との意味があり traversee du desert

ゴールを目指して砂漠を孤独に走る挑戦と歌っています。
これは受験生にも人気があると言われている所以です。

このアルバムが出る1年前の1985年、
日本車初の快挙で三菱パジェロがパリダカールラリーで
1、2フィニッシュで総合優勝しました。

ユーミンはパリダカに随行して、
過酷なレースを目の当たりにして、
帰国後に人生観ががらりと変わり、
「戦うべき場所は東京でポップのレースなんだ」
と再確認したと2018年の雑誌インタビューで語っています。

私も4輪駆動車が好きで、
日産ダットサントラック、トヨタランドクルーザー、三菱パジェロ
を乗り回していたこともあり、
孤独のゴールをめざすこの歌がしっくりきたのだと思います。

💓Autumn Park

Autumn Parkはロンドンのハムステッド・ヒース（写真）
をイメージして作られた曲ということを
今回調べて初めて知りました。　

初めて聞いた時から
私はこの「井の頭公園」の歌だと思いこんでいたようです。

この秋蓼科にある女神湖でライブを企画していました。
この曲がぴったりの美しい紅葉の道と鏡のような湖
緊急事態宣言も長引くところがこの状況で
実施することは難しいと
断腸の思いで延期を決定しました。
そして次の目標に向かって準備を始めました。

写真は蓼科女神湖の秋です。

「今日の日をありがとう
或る午後の 或る Autumn Park
今日の日を心にいつまでも」

今夜はなぜかとてもこの詩が心にしみています。

💛20minutes

20分間に起こるドラマの曲。
デートの約束をしていた主人公は、
一人で彼がくるのを待っています。
渋谷のハチ公あたりで
待ち合わせでもしているのでしょうか。
あたりには人がたくさん。
あれあれ、なんだか変な男が近づいてきます。
約束の時間から20分も経ってるのに何よとイライラ。

しつこく話しかけてくる男に辟易して、
よく見ると、
なんとなく見覚えがあります。
記憶を辿れば、学生時代の同級生。
めんどくさいな、
早くきてよ、
どこにいるのよ。

このあたり、
携帯電話の普及した今なら、ほとんどないですね。
待ち合わせして待っている人たちは、
100%あたりを見ず、
携帯の画面を見ていますよね。
どこにいるの？とメールのやりとり。

時代は変わるのねと思います。
20分間は携帯のメールチェックで
またたく間に消えていきますものね。
写真は当時の渋谷ハチ公あたりです。

💖3-Dのクリスマスカード

ここで再び酒井順子さんの「ユーミンの罪」を参照します。

主人公は雪景色が3ーD、すなわち立体的に飛び出して見えるような
クリスマスカードを彼からもらい、その絵の中に入っていくのです。
「もしも雪の国が
　私のふるさとだったらいいな どうしても

ということで、彼女の故郷は雪国でなくおそらく都会なのだけれど、
「もしも雪国で生まれていたら」という妄想を始めるのです。
「そして丘の上の
レンガ造りの家ならばいいな
煙突が高ければいいな」
と、主人公はうっとり。
二番の歌詞では、妄想はさらに膨らみます。

「もしも雪の国に
あなたと帰ってゆけたらいいな 二人して
そしてドアを開けて
両親に会ってくれたらいいな
ほほえんでテーブルについて
プレゼントをほどく」
と結婚絡みの夢がそこには広がっている。

彼女が「私のふるさとだったらいいな」と考える「雪国」は、おそらく津軽や越後ではないことでしょう。囲炉裏に茅葺きの「雪国」ではなく、それはヨーロッパやアメリカ東海岸的な、暖炉にレンガの「雪の国」。
　この歌の主人公は、自分が妄想に浸っていることを自覚しています。雪の国のふるさと、そして彼と一緒に雪を踏みながら実家に帰るという姿をいう姿を思い浮かべることは、引いて見るならば劇中劇のようなもの。
　素敵な舞台の主役として自分が立つ妄想をいくらしても、誰にも迷惑をかけないわけで、それは手軽にできる「気持ちの良いこと」
しかし妄想に浸りすぎると、現実世界に幻滅しやすいのでした。

聞き入って味うと、とっても良い曲です。

3-Dのクリスマスカードは
1985年に森下理恵に呉田軽穂名義で作曲提供した
「トワイライト」が原曲です。

💔さよならハリケーン

最後の曲はさよならハリケーンです。
こちらも雨の特集で取り上げましたね。
このアルバムは雨の歌が3曲も入っているのです。
びっくり。
さて、今年は台風が少ない気がしますが、
今　気がかりな台風14号はかなりの大型台風ですね。
去っていくあなたをハリケーンに例えて
何度もさよならという別れの歌ですね。


　「話したいことがあるの
　いつからか覚悟してた

　ひとことも口をきかず
　思い出を数えだすわ」

というように別れの直前のなんとも緊張感のある歌詞
そして彼はハリケーンのように
「何も残さずかけぬけて、去ってしまいました。

わたしのハリケーンは温帯低気圧になってどこかへいってしまい、
わたしのものではなくなってしまうのでしょう。


ALARM à la mode のツアーでは

「Holiday in Acapulco」
「ホライズンを追いかけて」
「さよならハリケーン」と、
このアルバムの派手な曲3連発の最後を飾ったそうです。
お疲れ様って感じでしたね。

ミルフィーユと額縁

「荒井由実の歌は好きだったけれど、
　松任谷由実になってからはちょっとね….」

という大人がいます。
そういう大人もこれまで、
なんとなく聞いていたのですが、
おそらくこのあたりから
だんだん離れていったような気がします。

「荒井由実」時代は青春の、人生の儚さ、
気だるさを湿り気のある歌詞とメロディーで
切々を歌い上げていましたが、
このあたりからどんどんドライになっていきます。

酒井さんに言わせれば、
「湿り気たっぷりの情感から上手に湿度を抜いて、万人が食べやすく、
そして一度食べるとクセになるような、かりっとした歯応え」
を醸し出します。

その行為の結果として生まれた作品を
「ポップ」というのだと思いますが、
確かに松任谷時代になってから、
ユーミンの曲にはポップなものが増えていきました。
でもみんなポップというわけでなく、
アルバムに数曲荒井由実感の残るものがあり、
異なる歌を重ねていく
ミルフィーユのような食感があるというのです。
これほんとにそうだと思います。

そしてこのように書いています。
“松任谷感“のもう一つの特徴は「額縁性」というものではないかと私は思います。
とある情景を描いた絵と額縁とをユーミンが用意してくれて、その歌を聞くことによって、絵に描かれている人物に自分が成り代わることができる。松任谷になってからのユーミンは、皆に「私もあの中の人物になりたい」と思わせる素敵な額縁を提供することに、大きな力を発揮しました。


この「額縁性の提示」、なるほどと思います。

にユーミン時代の若者は、たとえメキシコに行けなくても、ユーミンのアカプルコの曲を聞いたら、メキシコの風景に自分を取り込み、ロンドンのハムステッドヒースでなく井の頭公園であってもその気になることができました。情報が少なかったから、想像、妄想でカバーできたののです。今の若者はググればすぐに情報が掴めるが故に、歌の歌詞に求めるものは、心のしんどさに対する対処療法的な言葉。
たとえば「心の傷を癒すために一人で旅する」といった非現実的なことより、「あなたは悪くないよ。そのままでいいんだよ」と慰めてもらいたいのかもしれません。

さて、いかがでしたか？
このアルバムに思い出いっぱいのあさこちゃんに登場してもらいたいと思います。
あさこちゃん、よろしくお願いします。

モデレーターのあさこちゃんは、この時13才の中学生。
好きな男の子に振られて、
このアルバムを泣きながら聞いていた思い出を
語ってくれました。

Autumn Park 
3-Dのクリスマスカード

愛を込めて歌っていただきました。

ブレイクタイムは　Holiday in Acapulco

2部　シュンミンリクエストタイム

コンサートの思い出、恋の思い出、お誕生日のお祝いにと
素敵なリウエストをしていただきました。ありがとうございます。

ホライズンを追いかけて
KATHMANDU
パジャマにレインコート
リフレインが叫んでいる
ヴィーナスの誕生
さよならハリケーン

今度の日曜日、横浜でユーミンナイト　のライブがあります。
お近くのかた、いかがですか？

今夜もありがとうございました。
では、、また来週！

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