📚おもしろい本のはなし📚中川五郎x谷川賢作トーク＆ライブ

2023年4月22日📚サン・ジョルディの日を楽しもう🌹

昨年７月に中川五郎さんと谷川賢作さんのライブを拝見！
あまりのおもしろさに思わず「うちでライブしてください」
とお願いしました。

そして、９か月も先の４月22日開催と決めました。
ずっと先の事と思ってました。

今年になって、手帳を変え、
真っ先に４月22日のライブを書き込みました。
その時、翌４月23日に小さく「サンジヨルデイの日」と書いてあります。
カタルーニャ州の伝統行事で「花と本」の日である事がわかりました！

「本の日」そういうば、結婚した頃、有隣堂で本を買うと、
「サンジョルテイの日」という栞が挟んであった。
という記憶が蘇りました。

そうとわかれば、「本の日」にちなんで、
中川五郎さんと谷川賢作さんに本の話をしてもらいたい！
私は心踊りました！
なんていう展開！

そこで「『おもしろい本のはなし』してください。」
というタイトルのトーク&ライブをお願いしました！

そして、その日がやってきました！

（サンジョルテイの日についてのお話しは次回に）

1  ある街に図書館がありました（YouTube動画）

「本に関連することをやろうという事で、本につながるはなしをしたり、
歌ったり、何も決めずにやっていくライブです」
中川五郎さんはピアノの前にたち、
カタルーニャ地方の人たちが、
スペイン統一によって言語を奪われていた中で、
親しい人同士に本を贈りあったことにも触れ、
ふるさと大阪がある時から変わり始め、
文化が切り捨てられていくことに心を痛めていたことを話され、
最初の一曲は「ある街に図書館がありました」でした。

この曲はボブ・ディランMasters 0f War(戦争の親玉）に
五郎さんが歌詞をつけたものです。
元々はアメリカの古い歌です。

大阪にあった国際こども図書館は、漫画がたくさん置かれていました。
良書＝文学書をたくさん置いて「読ませよう」とする側から見れば、
漫画は低俗な代物。
そこに税金をかけるのは「無駄」と切り捨ててしまいました。
何が大切で、何が無駄なのか・・・
見極める目が大切だと思います。

●おもしろい本のはなし　

漫画といえば、谷川家には「巨人の星」が全巻揃っていたそうです！
「鉄腕アトム」の作詞者谷川俊太郎さんのお家ですから、
もちろん手塚治虫「火の鳥」も並んでいましたが、
「巨人の星」はお母様もお好きで、谷川家の愛読漫画だった！
と知りました。


ここで、賢作さんが五郎さんに「五郎さんは読書家でしたか」と質問。


五郎さん
〜ぼくはね、小学生の頃から本が好きで、運動は嫌い。
どちらかといえば、
野球とかするより、本を読んでましたね。

その頃は親にも反抗しない良い子だったんです。
本は良いもの、役に立つもの、知識をくれるものという
親世代の考え方があって、「世界文学全集」とか「シュバイツァー伝記物語」
みたいな本読んでいると、親は喜ぶから、
本にどんどん親しみを感じて、
中学生くらいになると、
かなりの活字人間になってましたね。

なれっこないけど、小説家になりないなあとか、
言葉を綴っていく人になりたいなあと思う若者になっていきました。

中学を終わる頃に、アメリカのフォークソングに出会い、
日本語にアレンジして歌うことにして、
ギターを持って歌い始めたんですね。

ぼくは「音楽」というより、
「言葉」を大切にしたフォークソングにしたかったんです。

本はぼくの根っ子になりました〜

賢作さん「今はどうですか？」

五郎さん
〜今は目が見えにくいので、以前よりは読みづらくなったけど、本は読んでますよ・
　旅に行く時は必ず本を持って出かけて、電車の中とか、旅先で本読んでて、
今は持って行くことは行くけど、疲れて、前ほどは読めなくなってますね。

若い頃はよくわかってなかったから、自分のためになるものを読もうと思っていたけど、
今は何かを得るためによむって邪道で、なんでも読んでます。
中にはひどいものもあるけど、良いものもありで、おもしろい〜


賢作さん
〜こないだ阿川佐和子さんが父のところに来たんですが、
阿川佐和子さんの「聴く力」がすごいんですよ。
自分はめちゃくちゃなのに、こと娘には厳格な父上に育てられていていたからかな。
小説家になりたい阿川弘之さんがうちの爺さんに取り入ろうと思っていて、
よく家にきてたらしいんですね。
ある日、おじいちゃんがいない時に、
遊びにきていた阿川弘之さんとうちのおばあちゃん、
二人でお酒を飲んでいた！という忘れかけていた話を聞き出したんですよ。
おもしろいですね。

ぼくはこの本を持ってきました。
『ミシェル・ルグラン自伝」（アルデスパブルッシング）
付箋もいっぱいつけてます。
夜中の2時の起こされて、
父親の作曲の手助けをさせられる息子の話とかもある暴露本ですが、
これはめちゃくちゃおもしろです〜

堅物のおじいちゃんが入院した時に話ですが、
当時中学生のぼく、その時「狼よ　さらば」っていう本読んでたんですよ。
チャールズ・ブロンソンが主役映画の小説。
読んでる本を見るなり、
「なんだ！こんなくだらない本をよむとは何事だ！」
みたいな勢いで青筋立てて怒って、
ぼくは本を取り上げられた。
読めという夏目漱石の小説なんて
中学生に読めるわけないじゃない。
あんなのはくたびれた爺さん、
婆さんがよむものだって思いました。
どこまでがよくて、どこからが悪いのぁ・・・
アガサ・クリスティなら良いわけ・・・？

ぼくはパルプ小説が好きで、「87分署シリーズ」は全巻読見ましたね。

（注）谷川賢作さんのお祖父様は哲学者で法政大学総長の谷川徹三先生

87分署シリーズは、エヴァン・ハンターがエド・マクベイン名義で発表した警察小説のシリーズ。 1956年にシリーズ第1作「警官嫌い」が出版され、以後、約50年にわたって書き継がれた。警察の捜査活動から登場人物の私生活にいたるまでをリアルに描く「警察小説」というジャンルを確立した作品として知られる。

ウィキペディア

五郎さん
〜ぼくも87分署シリーズ読んだなあ。
中学1年の頃はミステリーをどんどん読んでた。
難しい小説だと一度引っかかると、
次に進めなくなるけど、
ミステリーは細部にはわからないことはたくさんあっても
おもしろいからどんどん読める！
一度読み始めたらもう止まらない・・・・〜

賢作さん
〜早川文庫に最後50ページくらい袋とじになていたのありましたよね。
読まなかっらら返金するとか言って。〜

五郎さん
ありました。ありました。
読まないで返せないよね（笑）

ところで先日ボブ・ディランのコンサートに行ってきました。
81歳のボブ・ディラン・・その話すると長いからちょっとやめて・・・と五郎さん。
五郎さんはボブ・ディランの詩を全部訳しています。


「ある街に図書館がありました」の
“子どもたちよ　もっともっと本を読もう“
この歌詞は長田弘さんの「世界は一冊の本」に由来しているそうです。

長田さんは一日25時間くらい本を読んでるかと思うくらい本をよく読んでいて、
本についてとか、読書について
たくさんのエッセイも書いてます。

この本の中で、長田さんは本は人生に役にたつとか、
人生と生き抜く秘訣、とか教養のある人間になろうとかいうとは違って、
「生きる糧」であるということを全身で表現しています。
と五郎さんは話してくれました。

2 ファーブルさん（YouTube）

3 イソップさん（YouTube）

五郎さん
「サンジョルディの日」は本と花の日、ということで、　
一曲目には本の関連して図書館の歌を歌いまして、
次にはバラの歌を歌おうと思います。
この曲、賢作さんとは初めてですが・・（楽譜を渡しながら）

賢作さん「自分でいうのもなんですが、五郎さんとは息もぴったりで、、、、」と楽譜に目を落とします。

4 勝子さんの77本の薔薇

●トーク

2本目のワインはバローロ（王のワインにして、ワインの王」
と称されるイタリアワイン。
美味しいワインを飲みつつ、ノリに乗ってきた五郎さん。
トークが止まりません！

五郎さん
〜ぼくは7月で74歳になりますが、最近年のことを考えるのが嫌になってきましてね。
還暦の頃には60歳なんて「ケ」だったのに。
50代、60代には「死」は遠くて、避けて通りたいと思っていたけど。
70歳を超えて、ひたひたと死が近くなり、
避けずに向き合うようになって・・くる。
近しい人が亡くなったりすると、
なぜこの人が亡くなって自分が生きているのかとか考えてしまいます。
死は怖いけど受け入れるようになってきたかな。
でも70代は嫌だなあ・・・

賢作さん
〜父は91歳になり、元気そうに見えるけど、足腰は弱ってきましたね。
杖ついて歩いてますよ。
でも幾つになっても変わらないこともありますね。
91歳でMac Book をなんとか使ってますよ。〜

五郎さん
〜WORDで作詞するの？〜

賢作さん　
〜課金してWORD使ってますよ。
　ぼくはPages 〜

五郎さん　ぼくも！

●五郎さんのおすすめの本

『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』奈倉有里　

高校卒業後に単身ロシアにわたり、日本人としてはじめてロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業した文学研究者・奈倉有里さんによる随筆集。2002年から2008年のロシア滞在で交流を得た教師と学友たちとの思い出や、その後しだいに分断と言論統制が進んでいくロシアの姿を、かつて抑圧に立ち向かった作家たちの言葉を引きながら綴っていく。

弟さんは作家の逢坂冬馬さん。


『そこから青い闇がささやき』山崎佳代子

戦火の旧ユーゴスラビア、ベオグラードに留まった詩人・山崎佳代子さんの作品。

お二人とも言葉の力をとても大切にしていて、
翻訳を通してその国の言葉、文化、歴史を届けてくれます。
心に響きました。

世界で戦争が起こると、必ず犠牲者の数を知らされます。
しかし、一人ひとりに名前があります。
数で分かったように理解するのは無神経・・・
という五郎さんの言葉にはっとしました。

この2冊は読まねば！

5 パリャヌィツャ（YouTube）

ウクライナ語でパンを表す『パリャヌィツャ』という言葉があります。
ロシア語話者はこの言葉を発音しづらいため、
ウクライナでは現在、この言葉を言わせて
『ロシアのスパイ』をあぶり出す行為が呼びかけられているそうです。

歌に出てくる15円50銭という言葉は、
韓国の人たちには発音しづらいことばです。

1923年9月1日関東大震災発生。
その直後に朝鮮人が武器を持って襲ってくる、
井戸の毒を投げ入れた、放火して回っている　
などの流言が飛び交い、
それを信じた市井の人が自警団を結成し、
東京の路上で朝鮮人を虐殺しました。

そして、震災発生から5日後、
千葉県東葛飾郡福田村で香川から来ていた行商人9人が殺されました。
讃岐弁を朝鮮語と間違えられたのです。
9人の中には臨月の妊婦もいました。
彼らは被差別部落の出身でした。

「福田村事件」と呼ばれるこの虐殺を知る人は多くはありません。
否定する人もいます。
歴代の都知事が続けていきた
「関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者追悼式」への追悼文の送付を
小池百合子都知事は取りやめました。

五郎さんは福田村事件につい23番からなるバラードを作り歌っています。
私は昨年の夏、この歌を初めて聴きました。

そして、関東大震災から100年目のして、
森達也監督が劇映画を作ることを知りました。

コロナによる感染者への差別、自粛警察、マスク警察、
今の社会は当時と変わらないと思っていたときでした。


五郎さんはすでに試写をご覧になったそうです。
これは1923年の映画でなく、
2023年を生きる私たちの映画だと思います。

9月上映です。

過去の目を閉ざす者は現在にも盲目となる」（ヴァイツゼッカー）

映画『福田村事件』公式サイト

6 Let it be (YouTube）

ビートルズ曲リクエストコーナーでした。
やっぱりこの曲ですね。

7 はみだしくん（YouTube）

ビートルズの名曲
“Nowhere man “ひとりぼっちのあいつ　を
“はみだしくん“と歌います。

8 I Shall Be Released

ビートルズもカヴァーしている曲。

1967年　ボブ・ディランの歌です。
『わたしは解き放たれる』

They say ev’rything can be replaced
Yet ev’ry distance is not near
So I remember ev’ry face
Of ev’ry man who put me here

I see my light come shining
From the west unto the east
Any day now, any day now
I shall be released


力強い歌です。
元気になります。

堅物の「おじいさん」の
私のピアノ・・・
今日は嬉しそうに歌っています。

そう！私は解き放たれる！

谷川賢作 official website

中川五郎x谷川賢作　トーク＆ライブ　第一弾は大成功でした。
お二人の許可をいただき、ライブをYouTubeで見ることができるようにしました。
でも、ライブ会場では、ここに書けない、本当におもしろいはなしがいっぱいでした。

ライブはそこに一緒にいる者としか味わえない「ナマモノ」です。
小さな会場は20人も入れば満員。
もう少し大きな会場にすれば・・・という思いもあります。
でも、この近さだからこそ、
息づかいを感じながら、
大切な時間を過ごし、
大切な言葉を共有できるのでしょう。

次回もきっと小さな会場で開催します。
そのときはぜひお出かけくださいね。

中川五郎さん、谷川賢作さん、ありがとうございました。

YouTubeを作成してくれたPAの坂部さん、
初めての参加で私のアシスタントを見事にやり遂げてくれた
あゆみさん、ありがとうございました。

そして、いらしてくださったみなさま、ありがとうございました。

心からの感謝を込めて

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