📙中学受験で大好きな学校に入ろう〜親世代、祖父母世代といまどきの“常識“の違いとは

最近目に留まった本の中の一冊。
著者は中学受験雑誌「進学レーダー」編集長井上修先生。

・・・たんに偏差値が高い、話題になっている、便利な場所だから・・・など、
子どもの成長と直接関係ない要因から併願校を決めると、あまり幸せな結果にならない場合が多い。もちろん、偏差値の高さを基準にするといってもおのずと範囲は決まっているが、その数字ばかりに目を奪われないことが大事だ。　

表紙の言葉

裏表紙　目次

今から30年くらい前
私は日能研に通う受験生の母をしていたのですが、
世の中変わり、受験も変わったのかなあと思いながら、
ペラペラめくってみると、「第二章こんな学校で学びたい」で
母校捜真女学校の名前が出ていて、びっくり。
なになに？と読んでみました。

「私立中高一貫校で六年間学ぶと、理念に基づく生き方、考え方が身につき、その後の人生で大いに役立つ。これこそが私学の真価だと著者は考えている。母校とつながりを持ちながら社会で活躍している卒業生も多い。
その意味で私学らしいと筆者が考える三校を紹介したい。
「麻布学園」（東京都港区、男子）
「捜真女学校中等部・高等学部（神奈川県、横浜市　女子）
「明星学園」（東京都三鷹市　共学）
は、それぞれが独自に素晴らしいのはもちろんである。だか筆者がここで強調したいのは、確固とした理念のもとに創立され、生徒と先生によって校風が継承・熟成されてきたこと。そうした学校の根幹を「これからの学び」にどうつなげているのかという、すべての私学に共通する部分である。

本書60ページより

こんな学校で学びたい

「責任を伴う自由を重んじる」麻布学園は8ページ。
「聖書を基盤とした芯をもって生きる人を作る」捜真女学校は7ページ。
「自発的学習を大切にする」明星学園は6ページ。

多くの有名な学校が数行から1ページというボリュームなのに、
この3校は特別枠です。

さて、その中で筆者が紹介したいのは捜真女学校だ。著名な卒業生は何人もいるが、たとえば作詞家の阿木燿子、作家の角田光代や中村うさぎなどは同校の出身である。同窓会のHPには以下の文章がある。

　捜真時代の思い出といえば、卒業式の答辞である。ありきたりの綺麗事の答辞が嫌で、友人たちと一緒に「答辞委員会」を作り、私が原稿を書いた。内容は「こんな温室育ちの私たちが世の中に出て通用するのか」という不安と吐露したものだった。この本音の答辞は物議をかもし、卒業式の後で日野校長から呼び出され、「あなたたちは自分の書いた答辞を10年後に後悔するでしょう」と言われたが、40年以上経った今でも全然後悔していない。だって捜真のキリスト教的世界観は本当に通用しなかったもん（笑）。
　私は自分の中にいかにもキリスト教的な正義とパターナリズムに悩まされたが、同時にそれが私という人間の基礎部分を支えていたのは事実である。捜真は、良くも悪くも私の背骨であったのだ。
　今までも、そしてこれからもずっと。

70〜71ページ

さすがの中村うさぎ、名文である。最後にリスペクトしているが、前半部分は、他の学校なら掲載しないであろう。このような学校側の懐の深さ、自由さ、寛容性。そこを理解して、鋭く切り込んでくる中村うさぎの天晴れも含めて、すべてが私学らしさであり、総じて捜真女学校の魅力だ。

71ページ

そうだったのか…
一学年下の中村うさぎ達は「答辞委員会」を作ったのか・・・
私たちの学年は好きなことばかりして、
学校のことなど深く考えてもなくて、
当たり障りのない「答辞」を読んだっけ？
どんな内容だったか記憶の片隅にもありません。
そんな上級生への反抗心もあったのかもしれない・・・と
思いつつも、

「私は自分の中にいかにもキリスト教的な正義とパターナリズムに悩まされたが、同時にそれが私という人間の基礎部分を支えていたのは事実である。捜真は、良くも悪くも私の背骨であったのだ。
　今までも、そしてこれからもずっと。

という一文に
大きくうなづいています。

変わる大学の価値、高大連携のメリット

中高一貫校を選ぼうとするのは、
その先の大学進学を見越してのことだと思います。
いい大学に入学して、見聞を広げ、より良い社会の一員として
安定した会社で働き、
堅実な人生を送ってほしいと思うのが
いつの世にも共通する親心ではないでしょうか。

しかしながら、
アフター新型コロナパンデミックの時代は
今まで以上に「大学で何を学びたいか」を問われていくでしょう。
「難関校なら、何学部でも良い」という視点ではなくて、
中高6年間で「何を学びたいか」という視点から
学校選びをしていくことが
大切なんだなあと思いました。

中学受験のトレンドと問題点

最近急増　駅前国際共学系

広尾学園中学・高等学校（旧順心女子学園）
三田国際学園（旧戸板中学校・高等学校）
開智日本橋中学・高等学校（旧日本橋中学・高等学校）
広尾学園小石川中学・高等学校（旧村田女子高等学校）
芝国際中学校・高等学校（旧東京女子学園中学校）
羽田国際高等学校（現在は蒲田女子高等学校）

中高一貫校は高校受験がないので、中学時代は比較的のんびりしているようです。
中学受験をしてきたのだから、少しはゆっくりしたいのも分かります。
高校になると大学受験を視野に入れた勉強が始まり、
塾に通う生徒も出始めます。

近年、東大進学者人数のトップに躍り出た聖光学院のことが書かれていました。

もちろん、最後まで塾・予備校通いをしない中高一貫校の生徒は少なくない。
聖光学院（神奈川県横浜市）の高校3年は、朝の7時から夜の9時まで、勉強に集中するために校内の「ザビエルセンター」を利用できる。毎日多くの学生がここで学び合っている。もともと修道士用の施設であったため、キッチンがあり、お腹が空けば簡単な自炊ができるのもこのザビエルセンターの強みだ。仲間とともにある学びが、同校の大学合格実績の高さにつながっているのだ。

156ページ

タイプ別私立中高一貫校

　　　　　（　）内の数字はページ数です。

1 プロテスタント系

女子学院（2）
恵泉女学園（2）
フェリス女学院中学校・高等学校（2）
横浜共立学園（1）
横浜女学院（1）
聖学院中学校高等学校
立教池袋中学高校
青山学院中等部・高等部
明治学院中等部・高等部

2 カトリック系
栄光学園(7）
雙葉（5）

3 仏教系
世田谷学園（2）
芝（2）
国府台女子学院、淑徳（3）

4 明治・大正・昭和（戦前）伝統校
開成（2）
逗子開成（2）

5 士官養成系
成城と攻玉社（1）
海城（3）

6 同窓会系
桜蔭（3）
鴎友学園女子（3）
茗渓学園（1）
桐朋（1）

7 家政・裁縫系と実業系
大妻（2）
共立女子（2）

8 財団系
浅野（2）
武蔵（5）

9 七年生高等学校とその仲間たち
成蹊（1）
学習院（2）

10 国立大学附属系
筑波大学附属駒場（2）
筑波大学附属とお茶の水女子大附属（2）
東京学芸大学附属と東京大学教育学部附属（1）

1995年の夏

長男は小学校5年生の夏、
日能研北千住校の夏期講習に通っていました。
嫁ぎ先の家は浅草で商売をしていたため
バブルの時代一日中仕事に明け暮れていた
受験生の母でした。


7月中旬に夫（元）が突然高熱に倒れ、
クリニックで「夏風邪」と診断されますが、
全く熱が下がらず、
聖路加国際病院に行ってみると、
無菌性髄膜と診断され、そのまま緊急入院。

普通なら仕事を休んで看病するのに
私は彼の代わりに仕事を引き受け、
仕事が終わってから聖路加国際病院に通う日が
1ヶ月以上になりました。

こともたちの楽しみにしていた八丈島への旅行も
当然なくなりました。

長男は黙々と夏期講習に通い、
8月には室長賞をもらいました。
その賞のもつ重ささえ
わからない疲労困憊の母でした。

室長は細やかに彼のことを見ていてくれて、
家庭の事情が大変な時なのに、崩れず、
頑張っていることを褒めてくれました。

その夏の終わり、やっと退院してきた夫は
体も本調子でなく、機嫌も最悪。
そんな中で考えました。
私は子供にに何を望むのだろうと・・・

今はバブル時でなんでもできそうな気がするけど
この景気はいつまで続くかもわからない。
だから、とにかくどんな時代でも
自分の頭で考えて、決断して、
（決断したことに）責任を持てる。。
そんな大人になってほしいと願いました。

翌年、幾つもの学校を見学に行き、
「僕はこの学校で勉強したい」と選んだ学校は
自由学園でした。

2024年夏

つい先日のこと
「地球の歩き方」2025〜26 横浜市
が発売されました。

自由学園で一緒に学んだお母様からメールが届きました。

「地球の歩き方」横浜市版購入しました。
息子と一緒に出かけて買ったら荒井くんが出てるんだよ。
読みました。荒井くん　素敵ですね。

あたたかなメッセージに感謝！
嬉しいなあ・・・

ああ、そういえば東海道宿場町について書いてると聞いた記憶・・・

早速　有隣堂で手にとりレジに並ぶと
列に並んでいる人がみんな「地球の歩き方横浜市」を持っています。

わああ　すごい売れ行き！

先日40才のお誕生日を迎えた息子・・・
子供の時から地図が大好き。
トミカやレゴで「まち」を作るのが大好き。

そして今、地元のみならず地方のまちでも
まちづくりの仲間と一緒に仕事をしています。

志望校を決める時、塾長がおっしゃった言葉が思い出されます。
「彼はどの学校に行っても、その学校の校風に馴染んで
　勉学に勤しむでしょう。
　でも、お母さん、自由学園に行ったら、
　どんなふうになるか想像がつきません。
　でもきっと面白い人生になると思いますよ。」

学校選びはとても難しいです。
一生を決めると言うこともできます。
でも、もし仮に志望校に行けなかったとしても
入学した学校がその子にとって良い学校なのだと思います。

2024年　酷暑の夏
夏期講習に学ぶ受験生とご家族の健康が守られてますに。
そして一番ふさわしい学校で学ぶことができますように。

心よりお祈りします。

#中学受験
#日能研