🌸忌野清志郎さんのお誕生日に寄せて

花冷えの朝です。
ユーミン『ベルベットイースター』に
ピッタリな4月3日の朝です。

FBを開けてみたら、真っ先に
自由学園の高橋和也学園長の投稿が目に入りました。

高橋和也先生のFB投稿

4月２日が忌野清志郎さんのお誕生日と知りびっくりしました。羽仁説子さんのお誕生日も4月2日なのです。説子さんは1903年､清志郎さんは1951年の4月2日。清志郎ファンの間ではこの2人に面白い関係があることはよく知られた話です。お誕生日が一緒と知りさらに不思議な縁を感じました。

清志郎さんが18歳の時に､母親は「ギターにこる子ども」にほとほと手を焼き、朝日新聞の「身上相談」(1969年11月4日)に投稿。「登校時間になっても起きず、遅刻はしょっちゅう」､「ギターのプロになるのだ」と言うが心配､「学校へまじめに行かせるにはどうしたらよろしい」かと投稿します。

清志郎さんは3歳の時に実母を亡くされ伯母夫婦に育てられていますが、その育ての母親久子さんがこの記事の投稿者「H子」さん。そして回答者が､映画監督の羽仁進さんと教育者・教育評論家の羽仁説子さんという母子コンビ。

「干渉過剰は逆効果、しばらく努力させてみては」というタイトルでお2人は次のように回答しています。

進さんは、「ギターなど才能を要し、しかも職業としては人気を要するものを一生の仕事としてえらぶには、お子さん自身不安があるにちがいありません。それをお母さんが、先に立って口うるさく言いすぎては、お子さんが自分を見失ってしまうおそれがあります。
ズルズルとこれで終始するよりは、思いきってある期間をお子さんに与え、好きな道で努力してみて、それがだめなら」別の道を考えるのもひとつの方法ではないか」と回答。

説子さんは、親が「口がすっぱくなるほど」「それからそれと拡大文句は逆効果。ギターをやめろではなく、ギターにうちこんでいくには、いざというときの経済的社会的バックをつくっておかなくては心配だから、とにかく大学だけは出ておいてとそれだけにしぼって、折りをみては親の希望をのべる」、「若いときの経験が、苦労が」､その後の人生で生きるはず､との言葉を伝えています。

子どもを信じて励ますお2人の回答の素晴らしさ！清志郎さんは徹子の部屋でこの記事を読み上げられて､嬉しそうに苦笑していました。

音楽を通じて社会的発信を続けた清志郎さん､生きていればこの世界情勢に強い訴えをしたことと思います。

清志郎さんの生い立ち

清志郎さんは1951年4月2日に
東京都中野区に生まれて、国分寺で育ちました。
本名は栗原清志さん。

実母は清志郎さんが3歳の時に33歳の若さで亡くなり、
お母様のお姉様の久子さんご夫妻の養子として育ちました。
自分が伯母の養子であることを打ち明けられたのは
東京都立日野高等学校時代でした。

高校時代は物静かな少年で、
なかなか学校に馴染めず、
単位を落とさない程度に出席しますが、
授業をサボって屋上でタバコ吸っているという
「トランジスタ・ラジオ」の歌詞は実体験。
多感な少年時代だったと推測されます。
日野高校の同級生に三浦友和がいました。

1968年、”R.C.サクセション“を結成し、
1970年にフォークグループRCサクセションとしてデビューしました。

伯母様が朝日新聞に身上相談をしたのは、
1969年、ちょうどデビューした頃です。
この回答があったので、
本人のしたいことをさせようと
伯母様も心を決めたのかなあ。

この「お答え」があったので、
忌野清志郎は稀代の
ロックミュージシャンになれたのかなあ。

いつの時代になっても
親は子どもの進路を心配するものですが、
よいアドヴァイスをもらえると
安心できます。

回答者　羽仁説子先生と羽仁進さん

羽仁説子先生は自由学園の創立者羽仁吉一、羽仁もと子の長女として生まれました。
自由学園を卒業後、「婦人之友」記者としても活躍。
夫の羽仁五郎と共に中産階級リベラリズムの立場で、
女性運動、児童福祉、性教育などの活動をした
教育評論家でした。

羽仁説子の長男が昭和3年生まれの進さんです。

ドキュメンタリーの手法を取り入れた
映画監督として先駆者的存在で、
アフリカ、オーストラリアなど海外ロケを30年近く続け、
野生動物を撮り続けました。
現在も健在で軽井沢にお住まいです。

お嬢さんの未央さんがまたさらにユニークで、
小学校4年生の時に学校教育を否定して、
それ以後家で教育をうけ、
ホームスクーラーの先駆けとも言える存在で、
香港に住み、日本と香港、シンガポールを行き来し活動し、
エッセイストとして成功を収めていました。
2014年、肝不全で50歳という若さで亡くなりました。
とてもショックな出来事でした。

羽仁家の皆様、本当にユニークな方達です。
だからこそ、忌野清志郎さんに
こんな素敵なアドバイスができたのでしょうね。

徹子の部屋

「徹子の部屋」で語る清志郎さんの笑顔
懐かしいです。

身上相談／羽仁説子・羽仁進
「ギターにこる子ども」
干渉過剰は逆効果
しばらく努力させてみては
1969年11月4日／朝日新聞

（徹子の部屋／テレビ朝日／2002年8月14日） pic.twitter.com/8x30w9CJI4

— 忌野清志郎 瀕死の語録問屋 (@kiyoshirogoroku) May 2, 2020

ゆったりとした時代だったのだなあと思います。

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